カリフォルニア HSパッケージで脱“軟派”!?
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:菊池 貴之
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:菊池 貴之
HSが装着されたカリフォルニアの乗り味は、ノーマルのカリフォルニアとは大きく異なる。それは万人に好かれる乗り味ではなく、特定の方の満足度向上を狙った攻めの味付けに感じる。
より具体的には、ここ近年のフェラーリは全般的に乗り易く進化してきており、そのなかでもカリフォルニアは郡を抜いて乗り易い。ファンのなかにはその乗り味を“軟派”と捉える方もいるが、HS装着車はそのような方に受け入れられる“硬派”なもの。参考までに数値を上げれば、ノーマル対比で車体ロール量は6.2%減り、ロールスピードも9.7%も抑え込まれる。
それら強化された硬さにより荒れた路面では、体への入力にノーマルでは感じられなかった角が若干ある。また路面環境は掴み易いが、振動の収束に時間がかかり絶えず走行微振動がある。それを刺激として気持ち良いと感じる方もいるはずだが、比較的柔らかい足が好みでノーマルのカリフォルニアの乗り味に満足していた個人的な観点では、いささか不快感を得てしまう。
しかし、それでもHSが欲しいと思える走行シーンがある。平坦な路面環境が続く高速道路や、操作によりグイグイと荷重を掛けられるハードなスポーティドライブのときだ。言うなれば、硬い足が得意とする場面で、このHSを装着したカリフォルニアは、とても気持ちよく走る。
路面への吸い付く感覚が強まり、街中で過敏に感じた9%ハンドル操作量が減るステアリングシステムは、意思とダイレクトに繋がり、曲がる感覚へと繋がる。また磁気流体ダンパーをスポーツモードにするとシャーシレスポンスが高まり、クルマの無駄な動きが抑えられ、路面に吸い付く感覚が意のままに動く感覚が高まる。
ちなみに屋根を開けると軽快感が強まると共に、若干ボディ剛性が落ちるのか、粘るような動きがでてきて、そのバランスがとても良かった。ハンドリング・スペチアーレは誰にでもお勧めするパッケージではないが、得意とする走行環境で得られる気持ち良さは、ノーマルのカリフォルニアでは絶対に得られないのも確かだ。
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