ウラカン・ペルフォルマンテとアヴェンタドール Sの異なる味わいを堪能した
掲載 更新 carview! 文:山田 弘樹/写真:ランボルギーニ・ジャパン
掲載 更新 carview! 文:山田 弘樹/写真:ランボルギーニ・ジャパン
ライバルたちが続々とターボ化するなか、アウディと共に自然吸気エンジンで孤軍奮闘するランボルギーニ。そのV10エンジンはもはやこれ以上のパワーアップなど望めないと高をくくっていたが、さらなる軽量化と排圧損失の見直しによってそのパワーは+30psの640ps/8000rpm、トルクは+40Nmの600Nmにまで高められていた。
これに対してシャシーは垂直方向で10%、ロール方向で15%剛性を高め、サスペンションアームのブッシュたちもしっかりと固められた。しかし何より興味をそそられたのは、可変空力デバイスがこのペルフォルマンテに与えられたことだった。ALA(エアロダイナミカ・ランボルギーニ・アッティーバ)と名付けられたそのシステムは、前後バンパーに内蔵されるフラップを適宜制御することで、ダウンフォースの増加をシチュエーションごとに変更してしまうのである。
特に感動的だったのはリアフラップの制御だ。ひとつはバンパー直後の制御で、これが開くことによってリアディフューザーで拡散された空気は遠くへと追いやられ、より多くの空気が床下から排出できるようになる(つまりダウンフォースが上がる)。またそのエキゾーストパイプも、バンパー直後の負圧を吹き飛ばせるようにと、適切な位置に配置されている。これはF1でかつて一世を風靡した「ブロウン・ディフューザー」と同じ効果を持っているはずだ。
アイデアものだな! と感心したのはリアウイングの作り込みだった。ウイング下面の表面積が増やせるスワンネックタイプのウイングは中空構造となっており、ここにも空気が通るのだ。そして走行中、高いダウンフォースが必要なときはフラップを閉じウイングの効果を上げる。かたやストレートではフラップを開けて空気を流し、ウイング下面の気流を剥離させることでストレートスピードを向上させるのである。これはかつてF1で使われた「Fダクト」の理論そのものだ。ちなみにペルフォルマンテの最高速は325km/hにもなるという。
さらにランボルギーニがすごかったのは、これをF1の猿まねで終わらせなかったこと。彼らはここからウイングのフラップを左右別々に制御。コーナーではイン側ウイングの通気孔を閉じ、内輪の接地性を上げることができたというのである。そして彼らはこれを“エアロベクタリング”と命名した。モータースポーツではF1をはじめとした多くのカテゴリーで、開発競争の激化を防ぐために可変空力デバイスが禁止されている。しかし市販車ではそのルールはない。これからのスーパースポーツは、こうした空力性能時代に突入するのだな…という未来をこのペルフォルマンテは予感させてくれた。
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