新型ボクスター初テスト 素晴らしいハンドリング

新型ボクスター初テスト 素晴らしいハンドリング

■コーナリングが素晴らしく楽しい [5/6]

今回はオプションの20インチ・タイヤとスポーツクロノ・パッケージを装着したボクスターSを中心に試乗した。モンテカルロ・ラリーのコースを含む試乗ルートでまず感心したのは、新しい電動パワーステアリングの出来映えだ。ダイレクトでありながら神経質過ぎない操舵感のこのパワステは、電動タイプにありがちな人工的な感覚とは無縁のステアリング・フィールを感じさせる。この雑味のないスッキリとしたインフォメーションは、加減速状態や路面状態を問わず常にステアリング操作に忠実にクルマが向きを変える様に、専用センサーがアクティブセルフアライメント制御しているのは間違いない。新型はまさに期待通りのポルシェであり、コーナリングが素晴らしく楽しいクルマなのである。

PASM（ポルシェ・アクティブサスペンション・マネージメントシステム）とセットで装着出来る、新しいPTV（ポルシェ・トルク・ベクトリング）もスポーティな走りに大きく寄与している。PTVはコーナリング時に内側の後輪にブレーキをかけることで外側の後輪により多くの駆動力を伝えることで、俊敏性を高めるデバイスだが、ステアリングを切り込んだ瞬間からコーナリング・ダイナミクスをはっきりと向上させている。またコーナー脱出時にはリアディファレンシャルロックにより優れたトラクションを発揮する。

標準装備のスポーツボタンでスポーツモードを選ぶと、エンジンがより獰猛になるとともに、PDKはより高回転でシフトアップし、より早めにシフトダウンするようになる。またスタートストップ機能はカットされる。さらにスポーツクロノ・パッケージ装着車は、スポーツ・プラスボタンでサーキット用シフトプログラムをオンにすると、変速ポイントが最適化されるとともに可能な限り低いギアで走行できるようになり、極めて力強い走りが楽しめる。