日本を意識した味付け… 新型クラウンの完成度
掲載 更新 carview! 文:島下 泰久/写真:齋藤 正
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先代の成功を受けて、クラウンは日本の高級車のリーダーであるという自信を取り戻したようだ。改めて日本と日本のユーザーを強く意識した新型のコンセプトを裏打ちしているのは、まさにその自信。先代では開発に際してBMW5シリーズなど海外のライバル達も比較の対象としたと聞いているが、新型では他車はあまり意識しなかったという。海外のクルマと戦うのではなく、より日本車らしさに磨きをかけることを選んだわけだ。
クルマづくりの手順についても、新型は再びユーザーの意向を最大限尊重する、いつものトヨタ流に戻っている。個人的には「これからのクラウンはこうあるべき」という指針をメーカー側がハッキリと示し、様々な呪縛を離れて改革に邁進した先代の姿勢に共感を抱いていただけに、寂しい気持ちはある。しかしトヨタにとっては、ある意味では先代こそ異端であり、まさにこれぞトヨタ、これぞクラウンなのだろう。
では先代で獲得した、おそらくは僕と同じように新しいクラウンに共鳴したユーザーのことはどう考えているのかと言えば、どうやら遅れて登場するクラウン・ハイブリッドが、それに対する回答となりそうだ。ハイブリッド独特の走行感覚やエココンシャスなキャラクターは、若きユーザーにもきっとアピールするはずだ。はなから、そんな風に守旧派を安心させ、革新派もしっかり取り込む目論見だったとするならば、さすがトヨタと唸らされずには居れないところである。
そういう意味で、今の時点ではまだ割り切れない気持ちが残る新型クラウンだが、すべての評価はそのハイブリッドが出て、あるいは更にその先にマジェスタが出てから改めて下すべきなのかもしれない。ラインナップの完成が今から楽しみだ。
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