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日本を意識した味付け… 新型クラウンの完成度

クラウンらしい走り

最初に3.0ロイヤルサルーンGに乗って思ったのは「昔のクラウンが帰ってきたみたいだ」ということである。最大の要因は乗り心地。フワフワという程ではないが、しなやかという言葉以上には柔らかな、要するに誰もがイメージするに違いないクラウンらしいタッチなのだ。

もっとも、操縦性まで昔に戻ってしまったわけではない。操舵力の軽減されたステアリングの中立感こそ曖昧だが、クルマ自体はぴしっと真っ直ぐ走る。コーナリングも、ロール感こそ大きいものの挙動には覚束ない部分は無い。

とは言いつつも、やはり操る気持ち良さは後退した感が否めない。先代では爽快と感じたV型6気筒エンジンのビートが意外にもやや耳障りと思えたのは、きっと積極的に走らせようという気分が盛り上がってこなかったせいだ。また、普段がソフトなだけに路面の継ぎ目などを越える際にガツンと突き上げるのも却って気になった。新しいプラットフォームの持ち味をストレートに出していた先代に対して、演出がかった分、これまで以上に些細な雑味が気になる。そんな印象である。

続いて乗ったアスリート3.5Gも乗り心地が改善されていて、こちらは適度にフラットで心地良い乗り味に仕上がっていた。VGRS(可変ギア比ステアリングシステム)の搭載もあって軽快な走りを味わえる。

3.5エンジンはパワー云々の前にフィーリングの面で好印象を覚えた。こちらの方がサウンドに低音成分が多く含まれるため、3.0で気になった高周波が強調されないということらしい。それならロイヤル系もこのエンジンを…と言いたいところだが、このアスリートですら後輪は225サイズでしかなく、荒れた路面では簡単にトラクションコントロールが介入してしまうだけに、それは難しいのかもしれない。

確かに電子制御の有効性は高い。しかし本来ならば、タイヤサイズを引き上げるなどして基本性能であと一歩のトラクションを稼ぎ出してほしいところ。それは乗っていて感じる安心感、走りの質にも大いに関わってくる話のはずだ。

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