シリーズ第5弾、ホンダS660モデューロXが意識したのは初代NSXのタイプS
掲載 更新 carview! 文:山田 弘樹/写真:小林 俊樹
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驚いたのはこのサスペンションが、既に販売されているモデューロの仕様とほぼ変わらないということだった。しかしそこからモデューロ Xがワンランク上の操縦安定性を得ることができたのは、空力性能のおかげなのだという。
モデューロ開発陣によれば基準車の前後リフトバランスは若干前下がりであり、これによってフロントに荷重が掛かりにくいS660の回頭性を上げているという。しかしより高い速度域でS660を走らせたいとなるとこのバランスは若干ナーバスで、モデューロ Xは足回りでその旋回性能を上げた分だけ、空力パーツによってこれを前後均等方向へと仕立て直したというのである。
フロントバンパーから取り込んだ空気はアンダーカバーのフィンによって清流され、車体後部まで流れて行く。車体上部では可変式リアウイングに付けた小さなガーニーフラップが、ウイング効果を引き立たせてリアのバランスを取ってくれる。細かいところでいうとフロントバンパーの形状は、転舵時にタイヤに空気が当たってドラッグが発生するのを防ぐよう、空気の流れが外側に行くように作られているというこだわりっぷりである。
その効果はもちろんワインディングでも現れているのだろうが、もっと広いコーナーで力を発揮するとボクは感じた。空力効果は目に見えるものではないが、モデューロ Xの高速安定性はすこぶる高かったのだ。もちろんS660がたったの64psしかない軽自動車であるということもあるけれど、雨の中で交通の流れをリードしても、余裕をもって走り続けることができた。進路変更や緩やかなカーブでも、安心してハンドルを切り、しっかりアクセルを踏み続けることができたのである。
これだけシャシー性能が高いと、150馬力くらい欲しくなってしまう。試乗を終えてその感想を上気しながら伝えると、開発陣の一人が教えてくれた。もちろん彼らにはチューンドエンジンの予定はなく、オフィシャルにはそういった要望に応えることはできないが、そうしたユーザーも想定して、このシャシーは開発されているのだと。
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