ソリオの新ハイブリッドに試乗。燃費以上にアピールしたいことがある?
掲載 更新 carview! 文:河村 康彦/写真:篠原 晃一
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「60km/h以下での軽負荷時にはEV走行を行う」という謳い文句は、基本的にはその通り。「巡航時にエンジン出力に余裕がある場合、効率良く発電して充電量を確保し、アシスト頻度を高める」という制御も、マルチインフォメーション・ディスプレイ上のエネルギーフロー表示で、頻繁に行われていることが読み取れた。
一方で、「40km/h巡航時で2km程度」とされるように、EV走行可能な距離がさほど長くないのは、ラゲッジフロア下にコンパクトに収められたバッテリーの容量と大きな関連がありそう。エンジン始動は見事にスムーズな一方で、アクセル踏み込みに対しては「すぐに掛かってしまう」という印象が強いのは、ハイブリッド・モデルならばもう少しEVテイストを味わいたいという人にとっては、ちょっとばかりの不満点となってしまうかも知れない。
従来のマイルドハイブリッド・システム搭載モデルとの価格差は、ひと声20万円プラスというところ。そして、端的に言ってしまえばこうした価格の違いを、燃費向上による燃料代の差で逆転させるのは、まず不可能な相談。前述の力強い加速感やEV走行時の高い静粛性など、このグレードならではのメリットは確かに認められるものの、最大の特徴である燃費の向上が、しかし実は”エコノミー”には繋がらないと気が付けば、伸ばした食指を引っ込めてしまう人も少なくないかもしれない。
そうした点を踏まえると、スズキが敢えてソリオ・シリーズに2種類のハイブリッド・モデルをラインナップに並べる理由は、どうやら燃費面でのメリットのみには留まりそうにない。かつては軽自動車メーカーというイメージが強かったものの、最近ではバレーノやイグニスといった軽自動車の枠を超えたブランニュー・モデルを相次いでローンチし、スイフトの刷新も間近に控えるのがこのブランド。
そんなタイミングで、ソリオに新開発されたストロングハイブリッド・システムを搭載したモデルを加えるのは、”普通車メーカー”としての存在感をますます強くアピールするという、プロモーション効果面でのメリットも大いに考えられるからだ。
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