マクラーレンMP4-12C 「踏んでいける！」

濃密なマクラーレンらしさ

低い車高と典型的なミッドシップ・プロポーションを併せ持つMP4-12Cのスタイリングは間違いなくスーパーカー的だ。とはいえフェラーリのような妖艶さはないし、ランボルギーニのような獰猛さもない。抜群にスタイリッシュだがアクは決して強くない。プレーンであり、演出めいたところがないという表現を使ってもいい。

そういう意味で、スーパーカーとしては若干キャラの弱さを感じないわけではないが、まずはフェラーリにもランボルギーニも似ていないという点を評価するべきだろう。なぜなら、フェラーリのようなマクラーレンや、ランボルギーニのようなマクラーレンを欲しがる人などいないだろうから。そしてときを重ねるごとに、内包する機能をストレートに表現したこのスタイリングが「マクラーレンらしさ」として定着していくはずだ。

車体中央に搭載する3.8リッターV8ツインターボは、7速DCTを介して軽量カーボン製ボディをわずか3.3秒で100km/h、9.1秒で200km/hまで加速させ、状況さえ許せば330km/hという途方もない速度へともっていく。後輪駆動で625ps/600Nmを消化するべく、フロント235/35R19、リア305/35R20という極太のタイヤを採用。2.3kg/psというパワーウェイトレシオがもたらす加速性能も驚異的だが、それとバランスをとるように止まる性能も天下一品だ。高速からのフルブレーキング時には後部の可変スポイラーがエアブレーキとしてガバッと立ち上がり、まるで空母に着艦した戦闘機のような勢いで減速する。