クルマがぜんぶ電気自動車になると走る楽しさは消えてしまうのか?
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗 2
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考えてみれば、130年以上にわたるガソリン車の改良の歴史は、エンジンの特性を電気モーターに近づける歴史でもあった。当初単気筒で登場したエンジンが2気筒、4気筒、6気筒、8気筒、12気筒へとシリンダー数を増やしていったのは、振動を消すことと高回転高出力化が狙い。マフラー(消音器)を取り付けたのは消音のため。トランスミッションを付けたのは効率のいい回転域が狭いため。クラッチを付けたのはアイドリングが不可欠だから。電子制御式燃料噴射装置を付けたのは燃焼を安定させるため。三元触媒を付けたのは排ガスを浄化するため。しかしEVは、上記のデバイスを一切必要とせず、たった1個のモーターだけですべてを実現してしまう。
もちろん、エンジンの進化の過程において、魂を揺さぶるようなサウンドや、回せば回すほど刺激性を増していくような素晴らしいエンターテインメント性が生まれ、人々を魅了したのは事実だ。しかしそれらは必然ではなく偶然、あるいは幸運にも生じた副産物に過ぎなかったのかもしれない。仮に130年前に高性能なバッテリーが存在していたとすれば、EVが主流になっていた可能性は大いにあると思うのだ。
つまり、何が言いたいのかというと、いずれEVが主流になったとしても、運転する楽しさはなくならないということ。アクセルペダルを踏み込んだときに感じる「ああ、気持ちいい!」という感覚は、自ら運転するクルマが残っていくかぎりは不滅だ。自動運転時代が到来しても、マニュアル運転モードが残されるなら、ユーザーは気持ちよく走るクルマを選ぶだろう。
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