Sクラス待望のAMGは3000万円超! 最高290kmのスーパー移動体だ!
掲載 更新 carview! 文:木村 好宏/写真:メルセデス・ベンツAG 128
掲載 更新 carview! 文:木村 好宏/写真:メルセデス・ベンツAG 128
メルセデスAMGは今から50年以上前に誕生したハイパフォーマンスエンジニアリングスペシャリスト、いわゆるチューナーであった。しかしその内容は明らかに数多の同業者と一線を画していた。
それもそのはず創立者のハンス・ヴェルナー・アウフレヒトとエアハルト・メルヒャーはダイムラー・ベンツのレースエンジン開発部に所属していたのである。ちなみにAMG(アー・エム・ゲー)はアウフレヒト、メルヒャー、創立地グローザスバッハに由来する。
彼らの主目的はモータースポーツへの参加と、その技術をロードカーに導入することであり、その名声を上げたのが1971年に開催されたスパ・フランコルシャン24時間レースで総合2位に入賞した「300SEL 6.8 AMG」(W109がベース)で、フルサイズの4ドアリムジンが並み居る小さなコンペティターを破っての快挙だった。

<写真:300SEL 6.8 AMG>
この300SEL AMGの直系とも言えるのが今回試乗した「メルセデスAMG S63 Eパフォーマンス」である。長い名前だが、それは内燃エンジンとF1技術をベースにしたEモジュールのハイブリッドパワートレーンとなっているからだ。
450kW(612馬力)と900Nmを発生する4リッターV8ツインターボと、13.1kWhの容量をもつAMGハイパフォーマンスバッテリーによって140kW(190馬力)と320Nmを発生する電気モーターが組み合わされシステム出力590kW(802馬力)、同トルク1430Nmを発生する。
そしてこのパワーは9速オートマチック(AMGスピードシフトMCT9G)を介して4輪を駆動する。AMGによれば2.6トン(EG空車重量)のボディを0-100km/hまで3.3秒、最高速度はスタンダードで250km/h、オプションで290km/hまで引き上げることが可能だ。
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試乗会が開催されたサンタモニカのホテル前に現れたS63AMGはダークブルーのボディで、非常に控えめな印象を与えている。縦格子のパナメリカーナグリル、カーボンフレームのエアインテーク、そしてメルセデス・ベンツのスリーポインテッドスターに代わってAMGロゴの入ったバッジがボンネット先端に控えめに輝いている。

インテリアは基本的に「メルセデス・ベンツ Sクラス」だが、シートにはAMGのロゴがエンボスされている。下面がフラットになっているスポーツステアリングホイールのダイヤルでコンフォートを選択すると市街地を抜けるまでは電気モーターで走行、落ち着いた外観故に振り向く人もいない。これなら冠婚葬祭やクライアント訪問でも問題ないだろう。

条件が良ければ33kmのEV走行が可能だ。試乗車にはオプションの21インチタイヤ(前255/40ZR21、後285/35ZR21)が装着されていたが、エアサス搭載のAMGライド・コントロールはカリフォルニア名物の穴ぼこ道路に遭遇してもショックを巧みに吸収、快適な乗り心地を提供してくれた。
ルートはその後、サンタモニカ山脈の峠道に入る。まず驚くべきはそのパワーで、どんな回転数からでもスロットルペダルを少し踏み込んだだけで圧倒的なトルクがドライバーと車体を包み込んで瞬間移動させる。
ワインディングロードに入り、7種類のドライブモードの中からスポーツ・プラスを選択してペースを上げて行くと驚かされるのは、正確かつ、路面状況をフィードバックしてくれるステアリング特性である。AMGパラメーター・ステアリング・システムはプログラムに合わせて最適なレシオを提供してくる。また最大で3度の舵角をもつリアステリングのおかげで長さ5.34m×幅1.92mの巨体を感じさせないほどのペースで峠道を駆け抜けることができた。

正直言って試乗する前は2.6トンのボディを力づくでねじ伏せるのではないかと予想していたが、ワンディングロードを走るに従って、そのコントローラブルな挙動に感動を覚えてしまった。今更ながらスパ24時間を制したAMGエンジニアリングの息吹を感じたのである。これならばエグゼクティブのビジネスもウィークエンドのスポーツドライブも高い水準でこなすことが可能だ。
今回試乗したAMG S63 Eパフォーマンスは一台でラグジュアリーサルーンの快適性とハイエンドスポーツカーのダイナミック性能を兼ね備えるだけでなく、33kmのEV走行、さらには高速道路上の渋滞時にはレベル3並みの手放し運転も可能にする、正に時代にマッチしたスーパー移動体だった。
日本市場での詳細は未だ発表されていないが、ドイツ本国では既に受注が始まっており、ベースモデルの価格は19%の付加価値税込みで20万8393ユーロ(約3300万円)と発表されている。
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