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BMW i8、国内長期試乗でわかったその本質

出足の鋭さ、力強い加速を生み出すカラクリ

走り慣れた国内の交通環境をi8で走り、最初に感じるのは出足の鋭さと速さ。アクセルを深く踏んでいないし、急いでもいないのだが、気が付くと周りを置き去りにする加速になっているし、走行ペースが速くなりがち。スポーツカーらしい低く潜り込んで座るポジションと低重心設計の安定感が、速度感を若干麻痺させていることも関係するが、やはり一番は動力そのものの特性だ。

最高出力170kW(231馬力)、最大トルク320Nmの1.5L直噴ターボエンジン。最高出力96kW(131馬力)、最大トルク250Nmを発揮するモーターが、とても効率よく緻密に制御され、シーンに合わせて使われる。ちなみに、1.5Lという小排気量に抵抗感を感じるかもしれないが、モーターありきの仕上げなので、直噴ターボで武装した出力は320Nm、言い換えれば通常エンジンの3.0L V6エンジンを超える性能を発揮しているから驚き。そこに6速ATを組み合わせて使うので加速が鋭いのだが、カラクリはまだまだある。

それはモーター用に独立した2速変速機が装着されていること。基礎制御はとてもシンプル。時速120km以下でEVボタンを押したときだけ1速(ローギア)を使い、それ以外は絶えず2速(ハイギア)を使う。これによりエンジンを使っているときと同様の加速力をEV走行でも得られるカラクリだ。

ちなみに非EVモードでも1速を積極的に使ったほうが有利と考えられるが、恐らくスムーズさを優先したのだろう。逆を言えば、モーターとエンジンの協調がとても滑らかで、ギクシャク感など皆無。ちなみにモーター用ギアが2速の状態では、積極的にトルクフルなエンジン補助が入るので、その加速力も十分。さらにいうと、モーター用ギアをハイギアで待機させておけるので、モーターが苦手とする高速領域での再加速などでも、効率良くモータートルクを使えてグイグイと加速もできる。まさにどの速度域でも、アクセルさえ踏めば力強くどこまでも加速する感覚があるのだ。

ちなみに、停止時から時速100kmまでの加速は4.4秒で、ハイパフォーマンスモデルのM4に負けるが、体感では圧倒的にi8が速い。その理由は、優れた官能特性にある。

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