スバル STIが手掛けた2モデル、WRX S4 tSとXV ハイブリッド tSに試乗
掲載 更新 carview! 文:佐野 弘宗/写真:中野 英幸
掲載 更新 carview! 文:佐野 弘宗/写真:中野 英幸
今回の試乗会には“tS”がもう1台用意されていた。クロスオーバーであるXVハイブリッドのtSである。同じtSを名乗ることもあって、カタログに記載されるモディファイの基本メニューはS4のそれに近い。パワートレーンに手は入っていないが、内外装を専用部品で装飾しつつ、ボディやシャシーはフレキシブル系部品で強化。そしてバネとダンパーは専用品……といったところである。
ただ、XVハイブリッドの場合は、ブレーキやタイヤ、そしてエンジン吸排気系はノーマルのまま。試乗車に装着されていたスポーツマフラーはなかなか迫力のある快音を奏でていて、ハイブリッドなのに……とも思ったが、これはオプション扱い。好みで有無を選べるのは良心的。つまり、XVハイブリッドtSがS4 tSほどガチガチの体育会系でないことは、ビジュアルの仕立てから想像されるとおりである。
バネが専用といっても、厳密な専用部分は赤いペイントだけでバネレートは標準のままという。ダンパーは標準と同じショーワ製ながら、バルブ構造がちがうアップグレード版というが、タイヤやバネが同じなので、減衰力が特別に締め上げられているわけではない。よって、XVハイブリッドtSの乗り味は、良くも悪くもS4のそれほど別物感はない。乗り心地もスポーツモデルだと構えて乗ると、拍子ぬけするほど快適である。
XVの走りはもともと、この種のものとしては動きがシュアだが、tSではその美点がさらに強調されている。それでいて、微小域からきっちり減衰を出すダンパーとボディ強化策のおかげか、四輪をバラバラに蹴り上げるような荒れた路面でも、上屋は盛大に動かずフラットな姿勢を保ち、しかも方向安定性も乱されず、直進性の高さは印象的である。
XVハイブリッドの場合は、tS専用部品もほぼすべて量産ラインで組み込まれることもあって、S4 tSのような限定車ではない。ノーマル比で約40万円という価格差を考えれば、特別な思い入れがなくても“乗り味も装備もいちばん高級なXV”として、ちょっとフンパツする価値はあると思う。新型インプレッサも出たことなので、今のXVもおそらくモデル末期。これが現行のXV最終進化版にして理想形……ということになりそうだ。
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