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新型SL&AMG国内試乗 美味しいモデルはどれ?

AMGか、メルセデス・ベンツか?

で、その後僕は毎日の生活をAMG軍団とともにしたわけだ。そうして導き出されたのが冒頭の“AMGとは大トロである”の言葉。ご想像の通りで毎日の食卓に並ぶと、さすがに濃いぃなぁと思うわけだ。それで僕は自分の器の大きさに気づいてしまったのだ。

つまりAMGに乗るということは、もちろん経済的に恵まれていなければならないが、それ以上に精神的にも器の大きさが求められる、ということ。つまり毎日美食を追い求めてもなお、胃袋に疲れを感じぬタフさはもちろん、飽き足らないと思える大きな器でなければ、と感じたのだ。豪毅、でなければ。その意味では、ここ数ヶ月の間に何度かAMGと日々を過ごして濃いぃと思い、通常のメルセデスが恋しくなる僕は、まだまだ修行が足りないのかもしれない。

ただし、もうひとつ気づいたこともある。今まではメルセデス・ベンツとAMGならば、確実にAMGの方がヒエラルキーが上! と思っていた。もちろん価格の上ではその通りだし、見た目も存在も性能もAMGが上であることは間違いない。それゆえ今回の試乗会でも、SL63AMGに乗ったらSL350は記憶に残らないでしょ…と正直感じていた。が、決してそうではないことも分かった。

なぜならSL63AMGの濃厚な味の合間に、時折垣間見られるSL350の奥ゆかしくも淡い味が不思議と消えないという事実。そこで思うのは、AMGにもメルセデス・ベンツにも精通していれば、大トロの美味さもコハダや赤身の美味さも当然知っているわけで、それを踏まえてあえてメルセデス・ベンツを選択することもできるということ。

ならばAMGは存分に食べ尽くしたから、そろそろメルセデス・ベンツに、という通人もいるはず…と、なんとも深い世界がある。

そんな風に考えていくと、AMGとはやはり頂点だと痛感する。AMGは限られた人のみが知り得る究極の味。そしてこの味を知らなければ、メルセデス・ベンツが持つ真の味とは何なのかを明確には位置づけられない、とも。そう思うとますます、メルセデス・ベンツの深みとAMGの極みとは何なのかを、改めて探求してみたくなるのである。

事実、AMGにはまだSL63AMGの上に、SL65AMGが存在し、さらにその上にSL65AMGブラックシリーズなんていうモデルまで用意される。つまり大トロ以上の世界が残されていて、やっぱりそれはどんな味なのか、試さなきゃ分からないし、試せばさらにAMGとメルセデス・ベンツに対する評価に変化を与えることは間違いないのだから。

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