トヨタがいよいよ自動ブレーキ搭載へ。その実力は?
掲載 更新 carview! 文:塩見 智/写真:トヨタ自動車
掲載 更新 carview! 文:塩見 智/写真:トヨタ自動車
予防安全パッケージ「トヨタ・セーフティ・センス」は、衝突回避または軽減する「プリ・クラッシュ・セーフティ」、車線逸脱予防に貢献する「レーン・ディパーチャー・アラート」、ヘッドライトをハイ/ローを自動的に切り替える「オートマチック・ハイビーム」の機能を盛り込んだ装備のセットで、比較的安価なレーザーとカメラを組み合わせたベーシックカー向けの「トヨタ・セーフティ・センスC」と、より高価なミリ波レーダーとカメラを組み合わせた上級車向けの「トヨタ・セーフティ・センスP」の2種類がある。
トヨタ・セーフティ・センスCは、フロントガラス内側上部のルームミラー付近に設置されたレーザーとカメラによって前方の障害物を検知する。衝突の危険が迫った場合、まずドライバーにブザーとディスプレイで警告。そこでドライバーがブレーキを踏めばブレーキアシストが作動し、最大限の制動力を発揮する。ドライバーがブレーキを踏まなかった場合、自動ブレーキが作動し、30km/h未満なら衝突を回避し、それ以上なら衝突時の衝撃を軽減する。
トヨタ・セーフティ・センスPは、カメラはCと同じ位置にあり、レーザーに代わるミリ波レーダーが車両先端のエンブレム奥に設置されている。基本性能はCに準ずるが、自動ブレーキは40km/h未満なら衝突を回避し、それ以上なら衝突を軽減する。また、Cが検知できる対象が車両だけなのに対し、Pは歩行者も検知できる。加えて、Pには追従型クルーズコントロール機能も付く。
はじめにPが装着されたプリウスをテスト。30km/hで走行中、歩行者に見立てた人形が停止車両の陰から飛び出してきた。車内にピピピッと警告音が響いたかと思うと自動ブレーキが作動し、歩行者の約1m手前でスムーズに自動停止した。次にCが装着されたカローラ・アクシオをテスト。車両に見立てた障害物に向かって30km/hで近づいていったが、直前でピタリと停止した。当日はウェット路面だったが、どちらもドライバーに怖さを感じさせるよりも手前からブレーキングが始まったため、ヒヤリッという印象はなかった。
同種の機能は既に多くの市販車で実現されているので驚きはないが、当然ながらトヨタの新パッケージもスムーズに作動し、すぐにでも市販できるレベルに達していた。他社がステレオカメラを用いるケースが多いのに対し、トヨタではCもPも単眼カメラを用いる。エンジニアいわく「レーザーあるいはミリ波レーダーと組み合わせることで、単眼でも十分に求める性能を出せるというのが一番の理由。それに単眼のほうがコストが低く、またサイズも小さくできるので、コンパクトカーにも搭載しやすい」。
ついこの間までスバルやボルボの大きな売りだったプリクラッシュブレーキ・システムだが、トヨタが17年までにほぼ全車に導入することで、他社のさらなる追従も予想され、3年後にはほとんどの新車に装着される時代となっているのだろう。
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