新型ポルシェ 911 GT3はサスペンションと空力の変更で新次元へ。GT3モデル最後のピュアエンジンか?
掲載 更新 carview! 文:木村 好宏/写真:Kimura Office 130
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最新の「ポルシェ 911 GT3」のもっとも大きな特徴はモータースポーツからの惜しみない技術供与である。中でもフロントサスペンションがストラットからダブルウィッシュボーンへ変更されたこと、ウイングが「スワンネックタイプ」となった2点がこれまでにない進化と言って良いだろう。
ダブルウィッシュボーンはキャンバー角の変化が少なくタイヤの接地面が確保されるので安定したグリップ力が得られることで知られている。スペースが必要な点と重量が嵩むという難点があるがリアエンジン・リアドライブの911ではスペースはそう問題にならず、およそ4kgと言われる重量増に対してはトータルでの軽量化で対処している。
一方、これまでリアウイングは下から支えられてきたが、これは妥協の産物だった。ダウンフォースはウイングの角度だけではなく、下面を流れる空気の速度で得ることができるからである。もちろんウイングを立てても下向きの力を働かせることはできるが、それでは空気抵抗が大きくなってしまう。
モータースポーツの世界では数年前から白鳥の長い首のようなステーでウイングの上部を固定する方式が採用されている。もちろんそれだけ構造は複雑で、これまで市販車には採用されていなかったが、ポルシェは今回のGT3で他に先駆けて標準装備とした。おかげで旧モデルに比べると標準位置で50%、最大で150%増しのダウンフォースが発生するようになった。
一方、エンジンはこれまで通り自然吸気の4リッター水平対向6気筒だが、独立したスロットルバルブを持ったインテークとバルブシステムの改良によって最高出力は510PS/8400rpm、最大トルクは470Nm/6100rpmへと向上している。組み合わされるトランスミッションは今回から6速MTと7速PDKが差額なしで選択可能で、0-100km/h加速は前者でMTが3.9秒、PDKが3.4秒、最高速度はMTが320km/h、ATが318km/hと発表されている。6速MTの利点は最高速度と20kg軽量なことくらいだが、敢えてスパルタンな仕様を求めるオーナーに向けたポルシェのプレゼントと言ってもいいだろう。
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