ポロGTI 海外試乗レポ 想像以上に、○×的？

想像以上にライトウェイト・スポーツ的

またシャシーにおけるトピックとしては、ゴルフGTIで採用したESPの付加機能である疑似LSDともいえる“XDS”（コーナリング時に内輪に断続ブレーキをかけて相対的に外輪のトラクションを向上し旋回性を増す）を備えるのが特徴。ただしその作動は、ほぼ気づかない仕立てになっている。

あらゆる面が高次元でバランスに優れた新型ポロGTIは、相当に魅力的なプロダクトだ。しかもそれは1台のクルマとして高レベルというだけでなく、日本市場を考えた時に強みを発揮する記号が豊富にある、という意味においてもである。

例えば2ペダルのDSGならほかの家族が気軽に運転できるし、5ドアだからファミリーカーとしても成立する。高品質や安全性は国産車以上だし、それでいてスポーツ性も実は…といった具合で、もはや単なる優秀なホットハッチの領域にとどまらず、優れたファミリーカーの領域にまで踏み込む勢いなのだ。

意外だったのは、既にそこまでの可能性は容易に見通せていたため、もっと洗練された乗り味走り味で勝負してくるのかと思いきや、意外にも元気でスポーツ志向な仕立てだったこと。1.2TSIの方向性からすれば、GTIはより重厚な感覚の乗り味と滑らかな乗り味を増したプレミアム・スポーツ方向かと思っていたのだが、想像以上にライトウェイト・スポーツ的な面をもっている。

おそらくこれは意識的な仕立てだろう。というのも次に登場するポロRというモデルを考えれば、重厚や洗練という部分で残しておくべき領域がありそうだからだ。それに図らずも、タイミングをほぼ同じくしてアウディからA1が登場した状況でもある。

事実、僕はこの後アウディA1も試乗したわけだが、結果なるほどポロGTIの味付けがスポーツ志向であることにも納得したのだ。

ポロGTIはこの秋に5ドアが日本上陸を果たす。これに対しアウディA1は3ドアで来年早々に上陸を果たす。おそらく価格帯もそう遠くはない2台だけに、どちらも気になっている人も多いだろう。そういう方は、近日掲載されるA1のレポートも合わせて読んでほしい。そこでは2台の違いが明確になるはずだ。

新型ポロGTIは「ホットハッチとして一級ながら、ファミリーカーとしても相当に使えるマルチパーパスな1台」と、まずはそのキャラクターを明確にしておこう。では、アウディA1は…これまた実に上手くキャラクターが設定されているのだ。

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