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BMWの新種、5シリーズグランツーリスモに試乗

エフィシエント・ダイナミクスを具現化

新種として位置づけられるフォルムを持つグランツーリスモのユーティリティについては、最後にまとめて解説することにしよう。ただ、いくつものカテゴリーの機能を満たしているだけに、ボディが大柄になるだけではなく車重の増加も避けられない。実際に、ツイン・スクロール・ターボチャージャーにバルブトロニックを加え高精度ダイレクト・インジェクションを組み合わせる新開発の3リッター直6を積む535iでも、車重は740iを超え2020kgに達している。社会的な背景を考えれば、車重の増加は好ましくはない。とはいうものの、BMWはそこに合理的な解答を用意していたのだ。

535iが積むN55型エンジンは、BMWが2006年に投入したN54型の進化版である。N54型は、パラレル・ツイン・ターボチャージャーと高精度ダイレクト・インジェクションを組み合わせることで、4リッタークラスのV8と並ぶ性能を発揮しながら実際の排気量となる3リッター相当の燃費が得られるだけに、多くのモデルが搭載し市場からの高い評価を獲得。にもかかわらず、BMWはわずか3年あまりでN55型を投入。ターボチャージャーをシングル化し、同時にスロットル・レス化を実現するバルブ・トロニックを組み合わせたのだ。その目的は、まさに燃費の低減であり温暖化ガスの排出抑制だ。

実際に、535iを高速道路で走行車線の流れに合わせて走らせるとリッター13km台の燃費を記録。306psを発揮するエンジンを搭載し、車重がSUV並に増大していることを考えれば納得して余りある数値といえる。エンジンもさることながら、グランツーリスモは新開発の8速ATを組み合わせることも燃費の低減に大きな効果をもたらしている。トータルのギア比の超ワイド化が図れるだけに、8速100km/hのエンジン回転数は1600rpmでしかない。BMWがこれまでに搭載してきた6速ATの多くは、6速100km/h時のエンジン回転数が2100rpmだったのでこの500rpmの差はかなり大きい。一般路でも、8速ATは周囲の流れに合わせるだけなら1500rpm以下でスムーズにシフトアップを繰り返すので優れた燃費が期待できる。

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