最新こそ最良か? 言葉を失うほどの性能に、間口の広さまで手にした新型「911」と「タイカン」をPEC東京で堪能した
掲載 carview! 文:編集部/写真:ポルシェジャパン 7
掲載 carview! 文:編集部/写真:ポルシェジャパン 7
まずは「タイカン4S」でコースインスペクションも兼ねインストラクターの運転でコースを1周する。より精悍なデザインとなったヘッドライトも相まって、選ぶのに少し勇気が必要な淡いパープルのボディカラーに包まれた新型タイカンは、上品さがより一層引き立てられた印象だ。
新型タイカンは、基本的に従来モデルのキャリーオーバー(大幅改良モデル)のためパフォーマンスと充電性能の向上がメインなのだが、助手席に座ってまず驚いたのは乗り心地の良さ。4WDモデルに装備される「アダプティブエアサスペンション」が、路面の細かな凹凸やアンジュレーションを滑らかにいなし、“高級サルーン”として常にボディをフラットに保とうとする。
いよいよ運転席に乗り込む。電源ボタンを押すと、無音でデジタライズされたインパネやダッシュボードが起動する様にいかにも“最新の電動モデル”だということを感じる……が、ハンドリングトラックに出ればそれは紛れもなくポルシェであり、高級サルーンなんかではなくスポーツカーだった。
一度そのハンドルを握れば、ポルシェがタイカンを“電気自動車”ではなく“フル電動スポーツカー”と呼ぶ理由がよくわかる。アクセル、ブレーキ、ハンドルを介したクルマの全ての動きがドライバーの意図通り正確で、クルマとの対話を楽しめるのだ。
全長4963mm×全幅2144mmという、都心で扱うには難儀しそうな巨躯ではあるが、運転するとボディサイズを全く意識しなくなるほど小さく感じる。ドライバーとクルマとの一体感がそうさせるのだろうが、これが自宅のガレージにあったら……なんて妄想が始まってしまう。危険である。
一見すると無機質な電気自動車であっても、ポルシェの手にかかれば極めて有機的で濃密な生き物に変わる。これこそがポルシェであり、長年同社が培ってきた技術のなせる技なのだろう。パワートレインも駆動方式も関係なく、車内にはただただ濃密なポルシェの時間が流れていた。
続いてダイナミックエリアに移動する。
各ドライブモードでフル加速を楽しんだのだが、やはり特筆すべきは電動モーターならではの強烈な加速だ。ローンチコントロールを使えば、タイヤが最大限のグリップを発揮しながら強烈なGとともにわずか3.7秒で100km/hに到達する。
その感覚はまるで“宇宙船のワープ”のそれだ。もちろん宇宙船に乗ったことはないが、その特徴的なサウンドとともに「もし宇宙船でワープしたらこんな感じなんだろうな……」と、強烈なGにさらされ意識が遠のく脳がそう妄想した。加速感で言えば、後に乗った911カレラよりも強烈だった。
(次ページに続く)
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