迫るCO2規制で本気を出したメルセデスの高級EV「EQC」はテスラに勝てるか
掲載 更新 carview! 文:木村 好宏/写真:Kimura Office
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運転席に座ると、ステアリングホイール背後両側からパドルが伸びている。右側がプラス、左側がマイナスとなっていて、これにより回生の強弱コントロールをシフト感覚で行うことができる。
Dポジションはデフォルト、右パドルを引くと「D+(プラス)」となり、回生が弱まり下り坂や低負荷走行時に電力を使わずに走行できる。一方左側を引くと「D-(マイナス)」、そしてもう一回引くと「D--(マイナスマイナス)」となって、こちらは反対に回生率が高くなり、「D--」では、最大で0.3Gの減速加速度が発生する。このモードではブレーキペダルを使用することなく、ワンペダル走行が可能になる。さらにもう一つ、道路状況や地形などから最大の航続距離を自動的に算出するポジションも用意されている。
ドイツでのベース価格は19%の付加価値税込みで7万1281ユーロ(約870万円)となっているが、これは戦略的な価格設定で、付加価値税を抜いた車両価格が6万ユーロ以下のBEVには補助金が出るためだ。まあ、これでオプションを注文すれば、ゆうに1000万円は超えるはずであるが、カタログ価格としては事実だ。
保証は8年間、もしくは走行16万kmの早い方で、メルセデス・ベンツによればこの時点でも電池は80%のキャパシティが残されているという。ちなみにドイツではすでに受注が始まっていて、日本への上陸も年内の予定だ。もちろん32A単相プラグ、そして500V 、200A(あるいは400Aまで)のCHAdeMO(チャデモ)が用意される。現時点では日本価格は発表されていない。
ところでこのEQCのデリバリーは遅れるようだ。なぜなら生産する北ドイツのブレーメン工場ではCクラスとの混成ラインとなっていて、EQCは一日わずか100台しか生産できないのだ。それ故に現在注文を受けても年内にユーザーの手に渡るかどうかわからない。
試乗を終えたその日、ダイムラーは2039年までには世界中で販売するすべてのモデルが二酸化炭素フリーになることを明言した。その技術内容について明確な説明はなかったが、おそらく今回試乗したBEVだけでなくP-HEVも含まれているようだ。ただし、その内燃機関には合成燃料が使用されるだろう。さらにダイムラーはフューエルセルP-HEVと言う凝った構造のCO2フリーモデルもほぼ完成している。
ダイムラー社はあと2年で現在の132g/kmを102g/kmまで、さらに2030年までには、そこからさらに37.5パーセントの低減が要求されている。そのため早期の方針決定が望まれていたのだ。
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