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クルマの電動化、最前線のコア技術に迫る

ヴァレオならではのコストを抑える工夫とは?

ざっと見まわしても、低燃費の小型車やディーゼル車が販売の中心を占めるフィアットやプジョー・シトロエンのCO2排出量がダントツで少ないが、もうこれ以上、ディーゼルの比率を増やすことも難しいし、小型車ばかり売っていても収益につながりにくい。一方、大きなエンジンのクルマをたくさん売りたいドイツ車メーカーにとっては、CO2排出量の削減だけではなく、カーナビや電気モーターを使う快適装備が増えることで車内で消費される電力に対して、発電による供給が追いつかなくなっている。従来の12Vシステムでは250A発電できるオルタネーターを組み込んでも、電力量は最大3~4kWに限られる。しかし、48Vシステムであれば、250Aの発電量があれば最大10~12kWもの電力が使える。

スタート・ストップ・システムや回生ブレーキと電動アシストを組み合わせたマイルド・ハイブリッドでもいいんじゃないの? という意見もあるだろう。それではもう、CO2排出量の削減の目標に達しないのだ。あるいは、フル・ハイブリッドやPHV(プラグイン・ハイブリッド)まで電化を一気に進めてしまうほうが低燃費にできるというのもごもっともだ。だが、フル・ハイブリッドやPHVは、エンジン車の部品に加えて、モーターやパワーエレクトロニクスなどの部品が増えるわけだから、量産しているトヨタ以外は、コスト面で不利だ。

48Vシステムは、電気の安全基準が上がらない60V以下で、小さなモーターとバッテリーを使うことでコストを抑えている。具体的には、モーター、ベルト・スターター・ジェネレーターに加えて、0.5~1MJ程度の容量を持つバッテリーを組み合わせる。もちろん、ほかのメーカーやサプライヤーも48Vシステムの提案はしている。ヴァレオのシステムの特徴は、インバーターをモーター内に組込み、ベルト・スターター・ジェネレーターにテンショナーが直結するなど、標準化してコストを抑える工夫だろう。また、電池メーカーと提携をせずに、リチウムイオン電池でもスーパーキャパシタでも対応できるのが特徴だ。

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