軽EVヒットで気になるライバル登場。ホンダやスズキやダイハツはどうする?
掲載 carview! 文:山本 晋也 105
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2009年に「三菱 アイミーブ」、2010年に「日産 リーフ」がローンチされるなどEVの発売自体は世界に先駆けていた日本の自動車マーケットですが、販売規模は拡大しないまま時間が過ぎていきました。
市場が保守的であるからという意見もありますし、そもそもEVシフトに注力するほどエネルギー問題や環境意識が切実になっていないという指摘もあるでしょう。
2011年の東日本大震災によって全国的に原発が停止したことで、原発のベース電力を深夜に利用することを前提としていたEVの必然性・経済合理性がアピールできなくなったというのも、EVにおける失われた10年の理由かもしれません。
とはいえ、2022年ぶ三菱から「eKクロスEV」、日産から「サクラ」という軽EVの姉妹車が登場したことで市場マインドは変わりました。航続可能距離はカタログスペックで180kmと、かつてのアイミーブ(160km)と初期のリーフ(200km)の中間程度ですが、想定以上に売れていることからも、市場が受け入れることができているのが見て取れます。
<上の写真:サクラ>
<上の写真:eKクロスEV>
もちろん、10年以上前のEVと現在のEVでは航続可能の前提としている走行モードが異なります。アイミーブや初期のリーフがリアルワールドでは満充電から100km程度走ると不安になっていたのに対して、現在の軽EVはカタログスペック以上が期待できるほど。多くのユーザーが実用的と感じるのも自然なことでしょう。
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日本経済の成長が鈍いこともEVの普及に対して足かせになっているとも感じます。多量のバッテリーを積むEVは、どうしても車両価格が上がってしまいます。サクラ、eKクロスEVの2台にしても上級グレードでは300万円をゆうに超える価格となっています。使い勝手としては近距離ユースに適したクルマに、それだけのお金を払うことのできるユーザーが少ないのも、また”失われた30年”の結果かもしれません。
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というわけで、軽EVを購入できるユーザーは限られているという見方もあります。補助金を前提としても200万円以上を軽自動車に支払えるユーザーは、すでにサクラとeKクロスEVが獲得しており、他メーカーが軽EVを投入しても、すぐに市場は拡大しないという風にも考えられます。
日産と三菱以外の軽自動車を製造しているメーカーも軽EVの開発を進めていますが、一般ユーザーをターゲットにはしていません。ビジネスユースが中心の軽商用からEVを展開する計画となっています。
2024年春に軽EVをローンチすることを公式発表しているホンダは、軽商用モデルである「N-VAN」をベースにすることを発表しています。目標価格は100万円台、航続距離は200kmというのはかなりチャレンジングな商品企画に思えますが、軽商用ということで快適装備を割り切ることができれば、この条件を満たした軽EVを生み出すことができるのでしょう。
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<上の写真:ホンダが2024年に発売予定のN-VANベースの軽EVバン>
スズキも同様で2023年度中に軽商用EVを市場投入すると発表しています。2023年度中ということは、遅くとも2024年3月までに発売するのでしょう。ホンダとスズキの発売時期はかなり近く、ユーザーは軽商用EVを比較して購入できるようになるかもしれません。
ダイハツは軽EVのロードマップについて積極的に情報発信をしている印象はありませんが、スズキとダイハツが軽商用EVの共同開発を進めているというのは公表されている事実。スズキと同じようなタイミングで市場に軽商用EVを投入することは確実でしょう。
スズキとダイハツの軽商用EVは顔違いの姉妹車になる可能性もありますが、2024年春ごろには3メーカーの軽商用EVから選択できる状況になりそうです。
<上の写真:スズキのサステナビリティリポート2022より>
スズキは2030年までに、日本市場で小型SUVや軽乗用モデルを計6モデルラインナップする計画であることも公表しています。発表資料からは登録車のクロスオーバーモデルやSUVモデルに加えて、「ワゴンR」や「ハスラー」風スタイルの軽EVが設定されるように受け取れます。2020年代後半は、軽乗用EVについても多様化が進み、ユーザーの好みで選べる時代になっていくことが期待できるのではないでしょうか。
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メーカー間の競争が激しくなれば価格も下がるでしょうし、そのために近距離ユースに割り切ってバッテリー搭載量(≒航続距離)を減らしたモデルが出てくるかもしれません。いずれにしても、選択肢が増えることはユーザーメリットにつながります。自分に最適なモデルを選べるようになれば軽EVの普及が加速することは確実でしょう。
写真&資料:日産、三菱、ホンダ、スズキ
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