【やはり本命】クラウンセダンの水素は傑作、HVも最高に快適。スポーツは最も若いユーザー向け
掲載 carview! 文:塩見 智/写真:小林 俊樹 44
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ハイブリッドのセダンに乗り換えた瞬間に感じたのは、こちらを先に試すべきだったということだ。車体から感じる乗り心地のよさはFCEVで感じたのと同じだが、ハイブリッドにはエンジンがある。つまり音と振動がある。
直4エンジンを使ったハイブリッドシステムとしては音と振動の対策がきっちりなされているほうではあると思うが、FCEVになかった要素がやや目立ってしまった。FCEVの直後に乗ったことと、ハイブリッドに乗っていた時間が1時間弱に過ぎないことは忘れてはいけないが、両車を比べてそう感じたのは事実だ。
ハイブリッドのほうはエンジンの最高出力が185ps、最大トルクが225Nm、モーターの最高出力が180ps、最大トルクが300Nm。モーター駆動を基本としながら、動力分割機構によってエンジンが発した力を“いい感じ”に駆動と発電に振り分けるおなじみのシステムは、そのクルマとして発揮できるシステム出力はFCEVとさほど変わらないはず。実際、体感的な加速の力強さはほぼ同じだった。
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このハイブリッドシステムがユニークなのは、システムがつくり出したパワーを4段ATが変速して後輪に伝えることで効率をアップしている点だ。さらにモーター制御によって10段の擬似的な変速が可能となっていて、リズミカルな(わざわざステップ制御を入れている)加速フィーリングを味わえるようになっている。
パドル操作でギアを固定した走行もできる。エンジン、モーター、動力分割機構、機械式AT、電気的ATを統合制御した複雑なパワートレーンなのだ。BEVにせよFCEVにせよ、電気自動車ならそれらが必要ないということでもあるのだが。もちろんドライバーは複雑なシステムを意識する必要はなく、よくできたAT車として乗ればよい。
冒頭でどちらがどうこうという話をしたが、現実的にはFCEVはまだまだエネルギーを充填できる水素ステーションの数が少なく、各ステーションの営業時間も限られ、都市部限定の間口の狭いモデルだ。一方でハイブリッドはこれまで通りガソリン補給で運用できる最も間口の広いモデルといえる。良好な乗り心地に静かさが加わって快適の極致と思えたのはFCEVだが、ハイブリッドでもこの価格で望み得る最高の快適さは手に入る。
長らくセダンこそがクラウンの王道だった。しかしクロスオーバーからスタートしたこの度の新世代クラウンファミリーにあっては、セダンは唯一レイアウトの異なる異質な存在だ。当初の新クラウン計画になかったセダンが、なぜ途中で計画され、追加されたのかについて書かれた記事は多数存在するのでここでは触れない。ともあれ、世間の流行り廃りがどうあれ、セダンでしか応えられないフォーマルな用途の受け皿として、新型のセダンは黒いのを中心に街にあふれるはずだ。
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