高級ブランドは一日にして成らず。日本メーカーに覚悟はあるか?
掲載 更新 carview! 文:島下 泰久/写真:マセラティ ジャパン
掲載 更新 carview! 文:島下 泰久/写真:マセラティ ジャパン
2月最後の週を、私はイタリア北部にあるウインターリゾート、クールマイユールで過ごしていた。日本ではフランス語のモンブランの方がポピュラーな、モンテビアンコの麓のラグジュアリー感漂う街である。もちろん、ご想像通り目的はスキーではなく、試乗。ここを拠点に行なわれたマセラティのウインターテストドライブに参加したのだ。
トリノの街からシャトルに揺られて1時間半ほど。関東から越後湯沢に向かうかのように、いくつものトンネルを抜けてたどり着いたクールマイユールでは、実はマセラティだけでなく様々なブランドがアクティビティを展開していた。街のあちこちに、いくつものブランドのブースが構えられ、めいめいに試乗イベントなどが開催されていたのである。
マセラティの場合を例にとれば、クールマイユールのウインターシーズン開会式はマセラティとともに実施。市街に特設されたマセラティ マウンテン ラウンジを拠点に、各種イベントやパーティー、展示、そして4輪駆動モデル「Q4」の試乗プログラムが行なわれる。この“マセラティ ウインターツアー”は他にもスイス、イタリアなど4箇所のウインターリゾートで展開されている。
クールマイユール、観光客が訪れる手段としてはバスツアーがポピュラーだが、もちろんクルマでという人も多い。特にリッチ層の多くは、そう。実際、道中では多くのスキー板をルーフラックに載せたプレミアムブランドのSUVやワゴンに遭遇した。そんなクールマイユールで行なわれる試乗イベントのターゲットは、おそらく“わざわざクルマを試すために来た人”ではない。バケーションのついでに、ちょっと乗ってみるかという具合に試す人たちのはず。けれど、彼らは間違いなく、リアルなカスタマー予備軍だ。
もちろん今でも、サーキットなどのクローズドの場を用いたものを筆頭に、ユーザー向け試乗会は各ブランドによって、とても多く開催されている。しかし考えてみれば、そこに来るのはほぼ全員、“わざわざクルマを試すために来た人”達に違いない。けれど、それだけでは、現在そのブランドに、あるいはクルマそれ自体に、興味の無い人を呼び込むことは難しいだろう。
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