1970年~1990年代に販売された“ちょっと、古い、クルマ”に焦点を合わせ、クルマをこよなく愛する俳優・永山絢斗が当時の車両の正体を暴く“探偵”に扮します。永山探偵をサポートする“物知り少年”は自動車評論家の小川フミオ(少年O)とGQ JAPAN編集部のイナガキ(少年I)のふたり。今回取り上げるのは、探偵が以前より気になっていたメルセデス・ベンツのラグジュアリークーペ「560SEC」だ。
デザインテーマの完成形
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少年I 南無!
少年O 今日は白のオーバーオールで登場ですね。よく見ると、左の上腕あたりに“MD”ってロゴが。なんのマネですか。
少年I マンガ『よろしくメカドック』の風見潤のマネでした。
探偵 『よろしくメカドック』とは?
少年O 『週刊少年ジャンプ』で次原隆二氏が、1982年から連載していた自動車マンガですね。池沢さとし氏(現・池沢早人師)の『サーキットの狼』とか、村上もとか氏の『赤いペガサス』などと違い、レースを前提としたチューニングを手がけるガレージが舞台でした。
【俳優・永山絢斗の“ヤングタイマー”探訪記】
日産・フェアレディZ(2代目)
フォルクスワーゲン・ビートル(タイプ1)
少年I 今振り返るとかなりマニアックな内容です。当時、小学生や中学生だった読者が「商業車の(トランス)ミッションが十分トルクを発生するギア比になっている」って書いてあっても、意味、わかっていたのでしょうか……ね。
少年O 当時のマンガ誌は、“プロフェッショナル”の世界を舞台にしたがっていて、知人のマンガ家も、「ネタ探しが大変ですよ~」と、けっこう苦労していました。
探偵 『よろしくメカドック』と今回の560SECとは、どういう関係があるんでしょうか?
少年I タツノコプロダクションが手がけた、『よろしくメカドック』のテレビアニメ版にも登場したのがメルセデス・ベンツ「SEC」でした。
少年O 1981年に発表された“W126”というコードネームを持つSクラスがベースの、ぜいたくな2ドア4座クーペでした。“C126”がコードネームで、いまもファンが多いクルマですね。
探偵 SECは適度に無骨で、かつ適度に官能性も感じられますね。実は以前から「いつか欲しいなぁ」と、狙っている1台なんですよ。
【俳優・永山絢斗の“ヤングタイマー”探訪記】
メルセデス・ベンツ500E
ランチア・デルタHFインテグラーレ
マセラティ・ギブリ(2代目)
メルセデス・ベンツGクラス(2代目)
アルファロメオ・スパイダー(初代)
少年O じつは私も、知り合いのガレージから「走行距離2万km程度のワンオーナーカーがあるんだけど、どうですか?」と、もちかけられて、心が揺れています。日本では、“まぁ、こういうクルマも1台ぐらいあってもいいかな”なんて、複数台を所有していられる裕福なオーナーに管理されている個体がけっこうあるんですね。
探偵 それはかなり魅力的なオファーですね。今すぐに……というわけにはいかないけれども、気になる1台です。
少年O かなり4ドアのセダンとの共通性を意識したスタイリングですが、太い頑丈そうなリアクオーターピラーと、ルーフの前後長を短めに抑えた小ぶりなキャビン、それと、ピラーをもたないサイドウィンドウのグラフィクスが、独自のスタイルを構成しています。当時“コンパクトクラス”と呼ばれた“W123”のクーペ、“C123”で試みられたデザインテーマの完成形ともいえます。
オーナーの購入経緯
少年I 今回の取材車である560SECは1991年にヤナセで販売された個体です。現オーナーは、このクルマを2020年2月に購入。そもそも、“ビッグクーペ”が好きなんだそうです。きっかけは、お父さまがむかし乗っていた日産「セドリック」の2ドア。SECも、いちどは乗りたいクルマのリストに入っていたといいます。
探偵 ハードトップのことですかね。1970年代の日本車は、ハードトップ好きでしたね。米国車の影響でしょうか。
【俳優・永山絢斗の“ヤングタイマー”探訪記】
日産PAO
スバル・レガシィ・ツーリングワゴン(初代)
ユーノス・ロードスター(初代)
ホンダ・NSX(初代)
少年I オーナーは、メルセデス・ベンツのGクラスも持っているんですけれど、SECについては「“メルセデス・ベンツだからこそ作れた”という個性を感じさせるところがいいんです」と、言います。
少年O 快適な乗り心地、よく効く空調、それに、乗りこむとセイフティベルトを電動アームが差し出してくれる機構など、メルセデス・ベンツのスポーティ2シーター「SL」ともちがう魅力があると思います。
探偵 電動アームが差し出してくれる機構とか“SECらしさ”を高める装備で魅力的ですよね。これも私がSECを気になっている理由のひとつです。
少年I 今のEクラス・クーペにも継承されています。この機構が搭載されていると、たしかにシートベルトの装着は楽チンです。よく考えられていますよね。
【俳優・永山絢斗の“ヤングタイマー”探訪記】
シトロエンCX
メルセデス・ベンツSクラス(W126)
ローバー・ミニ
力強くて優雅な走り
探偵 実際に運転すると、やっぱり加速性が印象に残りますね、以前、乗せていただいたセダンタイプの300SEより圧倒的に力強いです。
少年I リアシートから失礼します。クーペとはいっても、もとがSクラスのセダンだから大人でも十分乗れるスペースがあります。大きなセンターアームレストや灰皿が、専用エアコン吹き出し口などが贅沢なクーペであることを主張します。しかも静かです。当時を知る少年Oは、久しぶりの“560”、いかがですか?
少年O トルクがたっぷりある8気筒搭載だから、当時はものすごくパワフルな印象でした。いまでも、アクセルペダルを強く踏まなくても、力強い加速感がありますね。メルセデス・ベンツというと、当時、直列6気筒を好むひともいましたが、いっぽうで、トルキーなV8の人気も高かったです。ガーンっとアクセルペダルを踏まなくてもいいぶん、変速機をはじめとしたドライブトレインへの負担も少ないので、中古のSクラスセダンでも人気の高いエンジンです。
探偵 乗り心地もかなり良いのでびっくりです。“エアサス”ではないんですよね? 30年以上前のクルマとは思えないほどしなやかです。やっぱりメルセデス・ベンツって偉大ですね。
少年O 当時のメルセデス・ベンツは、シャシーを一枚の板のように考えて、前後左右のサスペンションシステムでそれを吊って、うまく動かすという設計思想だったと思います。それが独自の乗り心地になっていますね。でも当時、Sクラスの乗り心地は、いまひとつ、と思ったのも事実です。とくに段差ごえなど、競合のデイムラーダブルシックスの“ふわっ”とした味に負けていました。でも、ハンドリングを考えると、やや硬めの乗り心地もしょうがないかと。
少年I オーナーによるとエアコンの効きがイマイチな点を除けば、普通に乗れるそうです。ただし、普通に乗れるようになるまでにはそれなりの金額を要したようです。
探偵 街中で1980年代~1990年代前半のメルセデス・ベンツはそれなりに見かけますが、やっぱり車齢30年超になると維持は少々大変なのでしょうか?
少年I ただ、22年落ちのイタリア製スーパーカーに乗っているボクからしたら、ドイツ車の方が断然維持しやすいように思うのですが……O先輩、いかがでしょうか?
少年O 一般論でいうと、メルセデス・ベンツは比較的お金のかかるクルマです。もうすこし正確にいうと、消耗部品の交換インターバルが他ブランドより短くて、定期的な交換によって所期の性能を維持しようとしています。交換をサボると、本来の性能が味わえないともいえます。
探偵 定期的に部品を交換すれば、シャキッとした乗り味が味わえるのはたまらないですね。さすがはドイツ車!
【俳優・永山絢斗の“ヤングタイマー”探訪記】
フェラーリ360モデナ
フォードRS200
フォード・エスコート(マーク1)
少年I レザーシートの座り心地も最高です。前回乗った300SEは当時はやったベロア地でしたが、分厚いレザーもいいですね。
少年O ちなみに日本人は、「硬い」と思う人も多いようですよ。なにしろ、欧州人とは体重差がかなりあります。とくに、レザーとか、合成皮革の「MBテックス」とかを選ぶと、パンっと張りすぎていて、からだがあまり沈まないせいか、“落ち着かない”と、思うひともいるようです。
探偵 Bピラーがないのは、開放感があって気持ちいいですね。ウインドウをすべておろして走ると、さらに爽快です。
少年I あ、フロアマットにヤナセのロゴが!こんなにフカフカなフロアマットは久しぶりかもしれません。
【俳優・永山絢斗の“ヤングタイマー”探訪記】
フォードRS200
フォード・エスコート(マーク1)
マツダRX-8
トヨタ・セルシオ(初代)
今、買わなければいつ買うの!?
探偵 欧米ではビッグクーペの人気、とりわけ高いですけど、日本で見かけても、雰囲気いいですよね。大きなボディの2プラス2クーペって、最高のぜいたくかもしれません。思いきってSECのようなクルマに乗るはアリだと思います。自動車って、スタイルが大事ですからね。
少年I オーナーは、この560SECを買うとき、“いま買わないともう出合えないかもしれない”と、自分に言い聞かせたそうです。これまでにも、メルセデス・ベンツ「500E」や、ポルシェ「993」(4代目911)など、「買いたいなぁ」と、思っているうちに価格がどんどん急上昇してしまった苦い経験があったんで……と、言うことでした。
探偵 その意味で、SECはいいところに眼をつけたといえますね。
少年I ご本人的には、車高を少し落として、BBSのホイールと太いタイヤを組み合わせて、AMGやロリンザーのエアロパーツをつけたらカッコよくなるのでは? と、考えているとのこと。でも「リセールではノーマルのままのほうが、価値は高いですからね」と、踏ん切れないとか。
【俳優・永山絢斗の“ヤングタイマー”探訪記】
メルセデス・ベンツ500E
ランチア・デルタHFインテグラーレ
マセラティ・ギブリ(2代目)
メルセデス・ベンツGクラス(2代目)
少年O まぁ、人生いちどきりだから、自分の思うように生きたほうがいい! という意見もあるし。ただし、古いクルマは文化遺産でもあるから、なるべくオリジナルの状態を維持したほうがいい、という意見もまたありますね。古いクルマ好きが迷うところです。
少年I 今回の560SECは個体もそれなりに残っているし、改造もまたこのクルマの個性であると考えて、思いきってやっちゃったらどうでしょうね。
少年O それこそ、よろしくメカドックの得意とするところですよ! 改造は。
探偵 それは、ちょっとやりすぎかもしれませんね……。
【俳優・永山絢斗の“ヤングタイマー”探訪記】
メルセデス・ベンツ500E
ランチア・デルタHFインテグラーレ
マセラティ・ギブリ(2代目)
メルセデス・ベンツGクラス(2代目)
アルファロメオ・スパイダー(初代)
日産PAO
スバル・レガシィ・ツーリングワゴン(初代)
ユーノス・ロードスター(初代)
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メルセデス・ベンツSクラス(W126)
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フェラーリ360モデナ
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マツダRX-8
トヨタ・セルシオ(初代)
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【プロフィール】
俳優・永山絢斗(ながやまけんと)
1989年3月7日生まれ。東京都出身。2007年『おじいさん先生』(日本テレビ系列)で俳優デビュー。連続テレビ小説『おひさま』や『べっぴんさん』(NHK総合)、『ドクターX~外科医・大門未知子~ 第5シリーズ』(テレビ朝日系列)、そして2021年には『俺の家の話』(TBS系列)に出演。映画では2010年の『ソフトボーイ』で第34回日本アカデミー賞・新人俳優賞を受賞。
出演情報/
・2022年2月20日(日)23:00放送・配信WOWOWオリジナルドラマ『にんげんこわい』第3話『紺屋高尾』主演。
まとめ・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.) スタイリスト・Babymix ヘア&メイク・新宮利彦 撮影協力・川崎キングスカイフロント東急REIホテル
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みんなのコメント
現在2/11の23:30だが、未だ上がってない。
こんなに不安な金曜日も久しぶりだ・・・
ある時は『少年I』、ある時は『フェラーリ・オウナー』、そしてまたある時は『永遠の29歳』、しかしてその実体は『GQ JAPAN編集部員イナガキ』なのだ。