現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > それって「後出しじゃんけん」では? 巨人トヨタが成功を続ける「したたかな戦略」とは

ここから本文です

それって「後出しじゃんけん」では? 巨人トヨタが成功を続ける「したたかな戦略」とは

掲載 更新 44
それって「後出しじゃんけん」では? 巨人トヨタが成功を続ける「したたかな戦略」とは

同じスタイル、コンセプトながら後出しトヨタが勝つのはなぜ!?

 古くはサニーに対するカローラ、最近ではジューク/ヴェゼルに対するC-HRなど、昔からトヨタは他メーカーが市場を切り開いたクルマの後追いで、同じようなスタイルやコンセプトを持つジェネリックのようなクルマを送り出してきた、しかも二番煎じながら、多くの車種がマーケットを刈り取っている。もちろん、後出しじゃんけん的なクルマは他メーカーもリリースしているが、トヨタはその数は圧倒的が多い。これはなぜだろうか?

意外と「じゃじゃ馬」だった! レジェンドドライバーが語る名車「AE86」本当の操縦性

出る杭を打つ「ミート戦略」はNo.1企業が勝ち抜くための定番戦略

 後出しじゃんけんクルマについては「売れれば何をしてもいいのか」という意見も多く見られるが、まっとうな答えをすると「会社を存続させるのが企業の使命なので売れるなら何をしてもいい」。弱肉強食の世界に世界一のメーカーという肩書が関係ないことは、本当は誰もが理解しているはず。「モノマネではなく真っ向勝負してほしい」という意見は、クルマ趣味人の夢やロマンがそう言わせていると思う。

 この後出しじゃんけんは、市場シェアにおける強者が営業・販売競争で勝ち抜くために当たり前に行われているマーケティング戦略で、通称「ミート戦略」と言われるものだ。マーケットで下位に位置する企業が差別化するために作り上げた、新商品や新サービスが出たら類似品や同様のサービスをいち早く提供(ミート)し、企業規模(質より量)の勝負に持ち込むというわけだ。

 この独自性を平面化し出る杭を打つ戦略はライバルを潰すだけでなく、マーケットの短命化を招くことが多い。ただ、企業規模やラインアップの豊富なトヨタはそうしたマーケットの見切りや切り捨ても早い。マーケットを潰してでもライバルの弱体化を即す。これが王者の強みである。

後出しじゃんけんでもすべてが目論見どおり市場を席捲できたわけではない

 もちろん、歴史を振り返れば真似っこするだけの企業ではなく、プリウスやハリアーなどマーケットでエポックメイキングなクルマや、カローラやクラウンのような長年愛され続けるクルマ(ブランド)も産んでいる(そのほか、MR2やセラ、Willシリーズなど鮮度の高いクルマも作っている)。

 そうしたクルマには他社からライバルをぶつけられることもあったが、そこは企業規模をフルに使って打ち負かしてきた。そうしてマーケットでの独自性を確保(一強なのでトヨタらしいクルマとなる)しながら、前述したように新しい芽(ライバル)は全力で出鼻をくじく。アルファードはエルグランドを、ウィッシュはストリームを、RAV4はエスクードを目論見どおり打ち負かしてきた。

 もちろん、レガシィに対するカルディナ、ロードスターに対するMR-S、ソリオに対するルーミー(兄弟車を合わせれば販売数は多いがソリオも変わらず売れている)など真似っこしても本家の魅力にかなわなかった場合もある。トヨタ車以外は、そうしたニッチ(一部の人に愛される)なクルマ=一定の熱狂的なファンを生み出すか、一部のマーケット(ジャンル)に資金を集中し、確固たるナンバー1を狙うしかない。

GRブランドの登場で、これまでのトヨタに抱いたイメージは覆る⁉

 トヨタは企業も大きいので従業員を養うためにはそれなりの販売台数が必要であり、そうなると幅広い人に受け入れられる(万人向け)クルマを産む必要がある。一般ユーザーには趣味性の高さよりも、装備が充実し使い勝手もよく壊れない方が大事だ。また、幅広いバリエーションのなかから自分のライフスタイルや好みに合わせて選べるトヨタのクルマはじつに魅力的に映るはずだ。

 ただ、80点主義と呼ばれたトヨタ車だが、GRブランドの登場で大きく変わりつつある。今、国内メーカーで手の届く2ドアスポーツモデルをリリースしているのはほぼトヨタだけであり、スポーツモデルでみれば日産やマツダなどにも存在するがどれも基本設計が古く、実用性に乏しいモデルばかりだ。

 実用車を数多くリリースし、多くのユーザーを確保しながら、GRで手の届く魅力ある個性派スポーツカーを続々と発売することでクルマ趣味人まで取り込みつつある。この隙のない戦略はライバルにとっては脅威でしかない。「昔はトヨタのクルマ作りは面白みがないと言われていたな」と笑い話として語られる日はそう遠くないかもしれない。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

東京ガス、EV充電サービス「EVrest」に新料金メニュー…充電器ごとの柔軟な設定が可能に
東京ガス、EV充電サービス「EVrest」に新料金メニュー…充電器ごとの柔軟な設定が可能に
レスポンス
【RQ決定情報2025】スーパーフォーミュラの新チームをサポートする『KDDIレースアンバサダー』のメンバーが発表
【RQ決定情報2025】スーパーフォーミュラの新チームをサポートする『KDDIレースアンバサダー』のメンバーが発表
AUTOSPORT web
ホンダe:HEVと日産e-POWER 元エンジニアが判定「長所」と「短所」をガチで比べるとどっちがいいの?
ホンダe:HEVと日産e-POWER 元エンジニアが判定「長所」と「短所」をガチで比べるとどっちがいいの?
ベストカーWeb
「マイクロバス」はトヨタの商品名だと知ってた? 60年以上むかしのトラック「ダイナ」ベースのバスがとってもおしゃれ! 昭和懐かしのクルマを紹介します
「マイクロバス」はトヨタの商品名だと知ってた? 60年以上むかしのトラック「ダイナ」ベースのバスがとってもおしゃれ! 昭和懐かしのクルマを紹介します
Auto Messe Web
ユーザーがクルマの「リコール」を放置すると車検に通らない場合も! そもそも「リコール」ってどんな場合に出されるもの?
ユーザーがクルマの「リコール」を放置すると車検に通らない場合も! そもそも「リコール」ってどんな場合に出されるもの?
WEB CARTOP
ママチャリとロードバイクが合体!? トップチューブレス設計のスポーツバイク「ママチャリロード2」発売
ママチャリとロードバイクが合体!? トップチューブレス設計のスポーツバイク「ママチャリロード2」発売
バイクのニュース
ホンダ「WR-V」一部改良! 高級インテリア採用&精悍すぎる「ブラックスタイル」登場! 値上げ実施も“全車250万円台以下”をキープ!
ホンダ「WR-V」一部改良! 高級インテリア採用&精悍すぎる「ブラックスタイル」登場! 値上げ実施も“全車250万円台以下”をキープ!
くるまのニュース
2025年2月の新車販売ランキング、スペーシアが2位浮上 N-BOXはトップ変わらず
2025年2月の新車販売ランキング、スペーシアが2位浮上 N-BOXはトップ変わらず
日刊自動車新聞
テストでは最多周回を走り込んだメルセデス。弱点の克服を実感「開幕戦には完全な準備ができたマシンを持ち込む」
テストでは最多周回を走り込んだメルセデス。弱点の克服を実感「開幕戦には完全な準備ができたマシンを持ち込む」
AUTOSPORT web
ジャガーは何をやろうとしているのか 1900万円の新型EV、狙いは? 独占インタビュー
ジャガーは何をやろうとしているのか 1900万円の新型EV、狙いは? 独占インタビュー
AUTOCAR JAPAN
レクサス最新「“5人乗り”コンパクトSUV」に注目! リッター「28キロ」走る“最安&最小”な「LBX エレガント」がスゴイ! “豪華内装×特別カラー”など気になる仕様とは?
レクサス最新「“5人乗り”コンパクトSUV」に注目! リッター「28キロ」走る“最安&最小”な「LBX エレガント」がスゴイ! “豪華内装×特別カラー”など気になる仕様とは?
くるまのニュース
タカラトミーが Juju 選手とパートナー契約…スーパーフォーミュラマシンに「TOMICA」のロゴ
タカラトミーが Juju 選手とパートナー契約…スーパーフォーミュラマシンに「TOMICA」のロゴ
レスポンス
2025年2月の外国メーカー車販売、前年比3.6%増の1万8601台 2カ月連続プラス VW増加で底上げ
2025年2月の外国メーカー車販売、前年比3.6%増の1万8601台 2カ月連続プラス VW増加で底上げ
日刊自動車新聞
【中国】約200万円! トヨタ新型「bZ3X」25年3月発売に反響多数! 「RAV4より広くて快適そう」「価格安すぎ」「先進運転支援システムが気になる」の声も! 新たな「bZシリーズ」登場!
【中国】約200万円! トヨタ新型「bZ3X」25年3月発売に反響多数! 「RAV4より広くて快適そう」「価格安すぎ」「先進運転支援システムが気になる」の声も! 新たな「bZシリーズ」登場!
くるまのニュース
トヨタ「アルファード」でスポーツVIPを表現! 愛車に「リンファード」と名付けた理由は給油口を見れば納得…実は家族愛あふれる1台でした
トヨタ「アルファード」でスポーツVIPを表現! 愛車に「リンファード」と名付けた理由は給油口を見れば納得…実は家族愛あふれる1台でした
Auto Messe Web
黒いトヨタのエンブレムがカッコいい! ヤリス&ヤリス クロスに特別仕様車「Z“URBANO(ウルバーノ)”」が登場。
黒いトヨタのエンブレムがカッコいい! ヤリス&ヤリス クロスに特別仕様車「Z“URBANO(ウルバーノ)”」が登場。
くるくら
「運転者管理システム」の運用3月22・23日全国一斉停止、マイナカード移行作業で免許証更新業務もストップ[新聞ウォッチ]
「運転者管理システム」の運用3月22・23日全国一斉停止、マイナカード移行作業で免許証更新業務もストップ[新聞ウォッチ]
レスポンス
外国人が「簡単に取れる日本の免許証制度」とは? 問題が指摘される「外免切替」 国家公安委員長「制度改正の検討」を示唆! 事故実態は「把握せず」
外国人が「簡単に取れる日本の免許証制度」とは? 問題が指摘される「外免切替」 国家公安委員長「制度改正の検討」を示唆! 事故実態は「把握せず」
くるまのニュース

みんなのコメント

44件
  • トヨタだって後出ししても負ける事あるよ。
    逆に言えば他のメーカーも沢山後出ししているのに
    成功例が少ないからこんな見出しになるのか?
  • あーだこーだ言ってる奴は所詮ネットの中だけ。現実社会には存在しない。
    それに車を買うとなった立場の人間からしたら選択肢が増えてメリットしかないがね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村