ベーシック~超マニアックまで多彩な駆動系を揃えた新型トヨタRAV4はどれを選べばいいのか?
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:菊池 貴之
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:菊池 貴之
ハイブリッドかガソリンエンジンかの二択がすでに悩ましいが、4WD形式の違いはさらに悩ましい。
まず、ハイブリッドは後輪を電動モーターで駆動する4WD(E-Four)とFFが選べる。E-Fourはモーターが大幅に強化され54psと121Nmを発生。前後最大トルク配分が20:80とリア駆動寄りの制御をするので、ラフロードではノーマル4WDよりも万能だし、アグレッシブに走れる。ラフロードの旋回でアクセルを踏みこむとパワーは絞られるが、リアを微妙に滑らせながらグイグイと曲がる。重量があるのでスポーティなブレーキングでは制動力が少し甘いが、自在な走行感覚が特徴になる。
一方、2.0Lガソリンエンジン搭載モデルは、FFに加え、2種類の4WDとFFを選ぶことができる。
迷ったらベーシックなダイナミックトルクコントロール4WDだ。通常はほぼ前輪駆動で、状況に応じて後輪に駆動力を最大で50%配分するオンデマンド4WDにブレーキ制御が加わり、雪道やラフロードの走破力も高い。旋回中にアクセルを踏むと軌跡が膨らんでいくが、予想に反した動きが出ないのは、動きが自然で安心感がある。
逆に、予想を超えた動きをするのがダイナミックトルクベクタリング4WDだ。後輪左右の駆動力を可変するベクタリングによって後輪にも旋回力を出せるので、自在に曲がる感覚がある。ラフロードでアクセルを踏みながら曲っても、軌跡を膨らませることなく、狙い通りに不思議なほど曲がる。これなら雪道で曲がらなくて焦るシーンも減るだろう。
旋回中のロールも抑えられる印象で、おそらくリアにも旋回力が発生することで、フロントのロールも抑えられ、同乗者も含めて快適だ。車重が重いのでリアにドッシリ感があるのも走りの質感を高めている。
このシステムは燃費もいい。エンジンの駆動力を後輪に伝えるプロペラシャフトの前後にクラッチ(ディスコネクト=切り離し機構)があって、FF走行時はシャフトを切り離すことで4WDシステムの燃費ロスを抑えることができるのだ。
ただし、路面の凸凹を越えた際に4輪駆動システム(リアデファレンシャルギア部)が重いのか、ユニット自体がブルブルと振動する時がある。また、ベクタリング機構とディスコネクト機構を積んでいるため50万円近く高く、25kgほど重くなっている。
世界中で売られるトヨタの最重要ベストセラーモデルだけに、多彩な駆動メカニズムはそれぞれ完成度が高い。新型RAV4は間違いなく激戦区のミドル級SUV市場でかなりの存在感を示すことになるはずだ。
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