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新型SLには装着されない 吉田匠絶賛の機能とは?

期待はブラッシュアップされた3.5 V6

フェイスリフトされたメルセデス・ベンツSLクラスの国際プレス試乗会はアメリカ西海岸、LA郊外のサンタモニカから始まった。北米がこの高級オープンスポーツカーの最大のマーケットであること、1950年代の300SLロードスターがカリフォルニアでデビューしたことが示しているように、クルマの雰囲気がその土地柄にマッチしていること、この2つこそメルセデスが新型SLの試乗の舞台をここに選んだ理由だろう。

この試乗会は2つのパートに分かれていた。その1が海沿いのサンタモニカから内陸部のパームスプリングスまで走るメルセデスSLの試乗、その2がパームスプリングスを出てパームスプリングスに戻るAMG SLの試乗だ。ここで採り上げるのは前者、しかも280、350、500、600の4モデルのなかからSL350にフォーカスするが、その理由のひとつは350に搭載されている3.5リッター4カム24バルブV6が、大幅にブラッシュアップされたことにある。排気量は従来と同じ3498ccのまま、パワーが272psから316psへと16%もアップされ、トルクも350Nmから360Nmに増強された。それでいて燃費も向上しているのだから、さらに官能面も磨き込まれていればエンジンの進化として文句はない。

EクラスやSクラスがプレミアムサルーンの標準機であるように、SLはコンフォート系高級スポーツカーの標準機だといえる。そういったSLのキャラクターを、パワーアップされた3.5リッターV6で走らせるとどうなるのか、僕の希望的観測としては独特の快感が得られるのではないかと推測したが、それをぜひとも実感してみたかったわけである。

だが、僕は必ずしも小排気量モデルがベストだと考えているわけではない。例えば僕が普段の足にしているゴルフVの場合、デビュー当初1.6リッター のEがベストだと評価するジャーナリストも多かったが、僕はそうは思わなかった。実用車としてあらゆる場面で乗ることを想定すると1.6リッターでは必ずしも充分でないと判断、自分のクルマには2リッターのGLiを選んだ。けれどもスポーツカーたるSLの場合、5.5リッターV8や5.5リッターV12ターボではなく、むしろ3.5リッターV6搭載のSL350の方がドライビングが愉しいのではないかと推測したのだ。

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