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【値上がり確実】新型「M2」は速さも快適性も抜群の完成度。価格はバーゲン級!

新しいM2は正確に言えば3代目

昨年発表された新型「BMW M2」(G87)は2015年に登場した初代M2(F87)に続く2世代目となっている。しかし敢えて正確に歴史を辿ると、2011年に「1シリーズ」をベースにした「1シリーズMクーペ」(E82)が短期間に存在していた。

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本来であれば「M1」と名付けるべきだったが、伝説のミッドシップスポーツカー「M1」の名を小さなスポーツクーペに与えるわけには行かず、わずか1年間で姿を消してしまった。つまり新型M2は実質的には3代目であると私は理解している。

<写真:BMW M1(1978~81年)>

角ばったボディはM4クーペよりずっとコンパクト

さて、今回アリゾナでの試乗したM2を改めて紹介すると、ボディサイズは 全長4.58×全幅 1.89×全高1.40m、ホイールベースは 2.75mと兄貴分の「M4クーペ」と比べると明らかにコンパクトである。

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デザインはフロントの小振りで変形5角形のキドニーグリルと、その下の大開口エアインテークがスポーツ性を強調している。またボディ全体は折り紙細工のように角ばった面で構成されており非常に力強い印象を受ける。

Mデザインのスポーツシートに腰を落とすとドライバーを囲むようなカーブドディスプレイ、センターパッド左右から赤いMスイッチが覗くステアリングホイールがスポーツドライブに誘う。

コンソールの真っ赤なスターターボタンにタッチするとデジタルタコメーターが一気に上昇。フロントに搭載されるエンジンはM3やM4と同じ「S58」、すなわち3L直列6気筒で最高出力460ps、ターボにも関わらず最高許容回転数は7200rpmに到達する。一方、最大トルクは2650∼5870rpmと広範囲で発生。6速MTトランスミッションあるいは8速ATで後輪を駆動する。

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8速ATの反応はDCT並み、0-100加速もMT以上

最初に選んだ試乗車は8速AT(トルコン式)だが、7速DCTに勝るとも劣らない変速性能を発揮する。そのシフトフィールは流体を介しているとは思えないほどドライで正確で、ツインクラッチを欲しがる必要はない。

6気筒スポーツエンジンの発生するパワーとの相性も良く、スロットルとシフトワークがほぼ完ぺきな共同作業を見せてくれる。もちろん根っからのスポーツドライバーには6速MTもオプションで用意されている。

こちらも完ぺきにギア比が配分されており、ショートストロークのシフトレバーを介して6気筒エンジンのスイートスポットを引き出すことが可能だ。さらに熟練ドライバーには不要だが、自動回転合わせシステム(レブマッチ)も搭載している。

しかし電光石火のシフトタイミングと8速ギアのお陰でパワーを確実に捉える事のできるATのほうが加速性能は優れており、0-100km/hは6MTの4.3秒に対して8ATは4.1秒。さらに200km/hまでは14.3秒対13.5秒と明らかに速い。MTに対する25kgの重量増加は効率でカバーされてしまうのだ。

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それでも6速MTのダイレクト感が好み

しかし私の好みは6速MTだ。その理由はクルマとドライバーとのダイレクトな会話が可能であるという点においてである。ちなみに最高速度は共に250km/hでリミッターが作動する。しかしMスポーツパッケージを購入すれば285km/hまで引き上げることもできる。

<写真:新型BMW M2>

シャシーは当然ながらスポーティなセッティングだが、先代よりはずっと快適性が向上している。おそらく長くなったホイールベースによってピッチングが減少した結果だと思われる。

>>新型M2のボディサイズやスペックはこちら
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装着しているタイヤはフロント275/35ZR19、リア285/30ZR20 で、後輪にはロッキングファクターが100%まで可能な電子制御のデフロックシステムが搭載されている。M2のこうしたシャシーシステムは基本的にはM3/M4から移植されたものであり、ベースの2シリーズクーペよりはずっとハードなセッティングとなっている。

<写真:新型BMW M2>

その結果、カーブの多いソノラ砂漠を走る一般道路はまるでM2のために用意されたようで、ダイナミック性能を十分に発揮させることができた。もっとも大きな印象は旧M2と比べると圧倒的に落ち着いた挙動を見せるボディで、まさに大人になった感じだ。

コーナーではニュートラルでスロットルを踏み込んでいっても挙動を読むことができるし、望めばコントロール可能なオーバーステアを見せることもできる。ただし、疑問だったのは10段階の調整が可能なトラクションコントロールで、これは過剰装備だと思う。

マルニターボを思わせる完成度。コレクターズアイテム入りも

新型M2はメキシコのサン・ルイス・ポトシ工場ですでに生産が始まっており、BMWジャパンは958万円と性能の割にはバーゲンとも言えるプライスタグを付けて、すでに2月から予約受注を開始している(納車は4月から)。

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M2は50年前の「2002ターボ(マルニターボ)」を思い起こさせるほど無垢なBMWだと言えるかもしれない。さらにM3と違って、2ドアという実用性を優先していない点においては絶対的な販売台数は少ないと予想される。

それゆえに希少価値、将来的には最後のピュア内燃機関搭載M2としてコレクターズアイテムとなる可能性も高いだろう。事実、先代モデル(F87)のアメリカ市場での中古価格は6万ドルと、2021年当時の新車価格を上回っている。

>>先代M2の日本での中古車相場はこちら

テスト&レポート:イェンツ・マイナーズ(Kimura Office)
写真:ウーヴェ・フィッシャー(BMW)

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