新型BMW 2シリーズクーペはサイズ拡大の恩恵で全方位に進化。この完成度なら次のM2は期待できる!
掲載 carview! 147
掲載 carview! 147
「BMW 2シリーズ クーペ」の現行モデル(F22)は2013年誕生で、今年の7月に英で開催されたグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで実に8年振りに次期モデル(G42)が発表された。全長4.5m以下のコンパクトな2ドアFRというカテゴリーは、スペースやコスト効率が悪く商業的に難しいとされ、モデル継続の決断は世界で注目を浴びている。
そして今回、ミュンヘン周辺の一般公道およそ250kmに渡る試乗会が開催された。レポーターの前に用意されたのはM社の手になる「M240i xDrive」で、サンダーナイトメタリックと名付けられた濃い紫のシンボルカラーに塗られている。
2シリーズ クーペが新たに採用するプラットフォームは「3/4シリーズ」や「Z4」と同じ後輪駆動専用のCLAR(クラスター・アーキテクチャー)で、「2シリーズ グランクーペ」や「2シリーズ アクティブツアラー」のUKL(前輪駆動用コンパクトプラットフォーム)とは一線を画している。
ボディサイズは全長4537(4432)×全幅1838(1774)×全高1390(1380)mmとカッコ内の旧2シリーズ(F22)よりも105mm長く、64mm幅広く、10mm高い。ホイールベースは2741mm(2690mm)と51mm延長された。ラゲッジスペースは390Lと変わらない。
デザインで最初に目に付くのはロングノーズ&ショートデッキでキャビンを後方に引いた典型的な後輪駆動フォルムである。空力特性は大幅に改善されCd値は0.30に、ボディのリフトは50%低減されている。
キドニーグリルは4シリーズクーペとは異なるクラシックなサイズと形状で、冷却と空力をコントロールするエアシャッター機能をもっている。切れ長のヘッドライトユニット内には02(マルニ、60~70年代に生産された2シリーズの原型となるコンパクトセダン)の伝統を引く継ぐLEDシングルヘッドライトが収まっている。
フロントスカートの左右には三角形のエアインテークが配され、その下にはマットブラックのリップスポイラーが伸びている。ボディサイドにまわると新しいデザインのM専用ドアミラー、標準で採用されている前225/40R19、後255/35R19のミックスサイズタイヤを収める前後のブリスターフェンダーと、それらを繋ぐ彫りの深いサイドシルが長く伸びたボディを引き締めている。また、Cピラーのホフマイスターキンク(BMW伝統のデザイン上のアクセント)が継承されたことも、クラシックなBMWファンには嬉しいポイントかもしれない。
一方リアエンドは旧2シリーズの面影を残した小さ目なリアLEDライトユニット、深いエッジの効いたトランクリッドにリップスポイラー、専用のMデザインディフューザーの左右には台形のマフラーカッターが並んでいる。
やや重みのあるドアハンドルを引いてキャビンに乗り込むと、見慣れたBMWオペレーティングシステム7ベースのデジタル操作系、インフォテイメントが広がっている。
新しいデザインのMスポーツステアリングの感触を確かめながらスターターボタンを押すと、直6ユニット(B58)から聞き慣れたやや金属的で澄んだエグゾーストノートが耳に届く。この3L直列6気筒ツインターボの最高出力は374ps、最大トルクは500Nmで、リア駆動重視セッティングの4WDシステムと8速ステップトロニック(ローンチコントロール付き)の組み合わせで0-100km/hは4.3秒、最高速度はリミッターで250km/hに抑えられている。
基本シャシーは4シリーズから移植され、旧モデルよりも軽量で剛性が高められた。このM240i xDriveはMスポーツブレーキや、リアアクスルにはスポーツデファレンシャルを装備し、電子制御ダンパー付きのアダプティブMシャシーもオプションで用意される。
スペックから予想していたが、ホイールベース延長の恩恵はアウトバーンを走り出して直ぐに感じられた。直進安定性がスピードを問わず格段に向上し、レーンチェンジでの挙動も唐突な感じはなく、剛性アップしたボディのお陰もあって足回りはしなやかだ。
しばらく高速移動を楽しんだ後、バイエルンのカントリーロードへ入る。アップダウンと緩やかで見通しの良いコーナーが続くスポーツドライビングにはうってつけの場所だ。ここではM240i xDriveの高められたボディ剛性やワイドトレッド+ロングホイルベース、クイックで安定したステアリング特性といった素性の良さを確認できた。コーナリングラインをミリ単位でトレースするような操縦性や、直6の鋭いピックアップが印象的だ。
フルモデルチェンジを受けたM240i xDriveに乗って感じたのは、当たり前かもしれないが間違いなく進化、成長していることである。最大の要因は大きくなったサイズに起因する。速度に関わらず安定した快適な乗り心地、スポーティなのに安心感の高まった操縦性、素直なステアリングフィールに良く表れている。
これならば次期「M2」には大いなる期待が持てる。いずれにせよ商業的には決して楽観的にはなれない後輪駆動のコンパクトスポーツクーペを継続したBMWには敬意を表したい。ドイツでの価格はベースモデルが5万6000ユーロ(約720万円)で、生産はメキシコのサン・スイス・ポトシ工場が担当する。
レポート:Alex Ostern/Kimura Office
写真:Kimura Office
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
ウイリアムズとアメリカの電池メーカー『デュラセル』がパートナーシップを複数年延長
“650馬力”の爆速「コンパクトカー」がスゴイ! 全長4.2mボディに「W12ツインターボ」搭載! ド派手“ワイドボディ”がカッコいい史上最強の「ゴルフ」とは?
フェラーリ育成のシュワルツマンが陣営を離脱。2025年はプレマからインディカーに挑戦
スバルBRZに新たな命を吹き込む 退役軍人のセカンドキャリアを支援する英国慈善団体
オープンカー世界最速はブガッティ!「ヴェイロン」より45キロも速い「453.91km/h」を樹立した「W16ミストラル ワールドレコードカー」とは?
『ローラT92/10(1992年)』“賃貸住宅ニュース”で強いインパクトを残した新規定グループCカー【忘れがたき銘車たち】
リバティ・メディアCEOマッフェイの退任、背景にあるのはアンドレッティとのトラブルか
約10年ぶりに“メイド・イン・イングランド”に!? 新型「ミニ・コンバーチブル」が“ミニの聖地”で生産開始
【クルマら部】「ポルシェ911」クルマ愛クイズ!全4問・解答編
昭和の香り残す街に130台のクラシックカー…青梅宿懐古自動車同窓会2024
三菱「新型SUVミニバン」公開! 全長4.5m級ボディדジムニー超え”最低地上高採用! タフ仕様の「エクスパンダークロス アウトドアE」比国に登場
新型フォルクスワーゲン・ティグアン発売。7年ぶり全面刷新、2Lディーゼルと1.5Lハイブリッドを展開
【クセ強だけど懐かしい】光岡、55周年記念車「M55ゼロ・エディション」発売。100台限定…ベースはあの車
「売れる車がない」なんて言わせない! 北米日産の大型SUV「アルマダ PRO-4X」が魅力的…価格も発表
新型「ティグアン」正式発売で注目集まる豪華装備とお値打ち度。世代遅れの兄弟「Q3」よりお買い得
メルセデスAMG「A45」に“最後の限定車”登場。2.0Lターボは421馬力も…価格は1000万円超え!!
ホンダの高級ブランドが新型SUV「ADX」を発表。クセ強め“アメリカン顔”の衝撃や背景とは?
北米レクサスが販売する3列SUV「TX」は何モノ!? “LBX顔”で実質650万円~…25年モデルに進化
【アルファード/ヴェルファイアはイヤ!】そんな人の選択肢になるかもしれない高級ミニバン「Vクラス」はどんなクルマなのか?
新たな仲間募集、JAFの給水素+給電カー、新型GR86の方向性…S耐最終戦で見えたトヨタと水素の現在地
【SUVだらけでお腹いっぱい】世間に流されず自分らしい車を探し出すための、愛車の「因数分解術」
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!