メルセデス ML350試乗 デザイン&洗練度は?
掲載 更新 carview! 文:木村 好宏/写真:SCOOPY
掲載 更新 carview! 文:木村 好宏/写真:SCOOPY
今から14年前の1997年、メルセデス・ベンツは最盛期を迎えつつあった北米のSUV市場に、Mクラスを現地生産するというかたちで投入した。2005年には2代目へ全面改良され、2011年4月までに世界中で120万台を販売。SUVとしては大成功したと言える。その成功作の3代目がついに登場。オーストリアの保養地キッツビュールで開催された試乗会に参加した。
新型は独特なCピラーの造形や後部のラップラウンドウインドウなどデザイン上の特徴を継承したことで、一目でMクラスと判る。しかし、2代目と並べてみるとヘッドライトやラジエターグリル、バンパーなどの造形が異なるほか、新型にはオーバーフェンダー状のプレスラインが無い。リアコンビランプも横長の台形となっている。
このようなデザイン上の変更は、ルーフスポイラーやアンダーフロアの最適化と合わせて、空力特性の改善にも貢献。新型は同セグメントでベストとなるCd値0.32を達成した。
ボディサイズは、全長4804mm×全幅1926mm×全高1796mm。先代より19mm低いが、長さで14mm、幅は16mm拡大。ホイールベースは2915mmと先代と同じだ。トランク容量は5人乗車時で690リッター、リアシートを畳んだ状態では2010リッターで先代から若干拡大。車両重量は今回試乗したML350ブルーエフィシェンシーで2130kgとなっている。
ドライビングポジションは、アイポイントが高い典型的なSUVのそれ。インテリアは先代から高級感が大幅に高められている。レザーのステッチや、アルミ/ウッドパネル類の仕上がりにはウットリしてしまうほどだ。
巧みなパッケージングにより室内空間も拡大。肘まわりの空間は、先代比で前席が34mm、後席は25mm広がった。装備面も、多彩な機能を備えたカーインフォティメント・システムのMY COMANDなど充実。14.7cmのモニターは視認性向上を目的にやや高めの位置に移動した。
試乗車のML350ブルーエフィシェンシーは先代と同様に排気量3498ccのV6ガソリンエンジンを搭載。しかし、このエンジンは第三世代の燃料噴射やスプレーガイド燃焼、ピエゾインジェクターにより噴射圧200バールを実現。MSI(マルチ・スパーク・インジェクション)および成層噴射(ステラティファイド・コンバスション・プロセス)を可能にした。この結果、最高出力が306ps/6500rpm、最大トルクは370Nm/3500-5250rpmとなり、先代からわずかに向上。同時にEU5をクリアする極めて高い環境性能を達成している。
トランスミッションはトルクコンバーターを備えた7速ATの7Gトロニック・プラスを組み合わせ、燃費低減コンバーターやフリクション低減ベアリング、トランスミッションオイル・サーマルマネジメント・システムなどを新採用。エコ・スタートストップ機能も備え、欧州新ドライビング・サイクルで8.5リッター/100km(11.76km/リッター)という、先代比で25%もの燃費向上を果たした。一方で、先代を上回る0-100km/h加速7.6秒、最高速度235km/hというパフォーマンスも手に入れている。
走り始めてすぐに気がついたのは、路面やエンジン、ボディ、駆動系からのノイズが非常に小さくなった事だ。さらに走り込んでみると、乗り心地が先代から大幅に洗練されている事が確認できた。しかも、アクティブ・カーブ・システムがローリングを効果的に抑えてくれるので、ワインディングロードにおいて高い安心感を得る事ができた。
オフロード性能も抜かりない。試乗コースには腰が引けるほど険しい急斜面が用意されていたが、スペシャル・オフロード・モードを含む6種類のドライビング・モードを備えたオプションのオン&オフロード・パッケージを装着した試乗車では、軽々と登り降りすることができた。
安全装備の充実ぶりにも目を見張る。PRE SAFEを標準装備するほか、アクティブ・レーンキープ・アシストや、アクティブ・ブラインド・スポットなどがオプションで用意されている。
新型Mクラスは、コンフォート性能と環境性能の向上に加え、高級感も大幅にアップするなど、SUVとして着実に正常進化を果たした。まるでアイポイントが高いEクラスのようなモデルだ。これほどの完成度であれば、SUVにそれほど興味が無かった人も魅力を感じるに違いない。
ちなみにML350ブルーエフィシェンシーのドイツにおける価格は5万6763ユーロ(約620万円)で、先代からわずか50ユーロ(約5400円)値上げされたに過ぎない。ドイツを初めとした欧州では11月にデリバリー開始となる予定だ。
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