新型ボルボC40に試乗。これからはもうBEVでいい、いやBEVこそがいいのでは?
掲載 更新 carview! 文:伊達軍曹/写真:伊達軍曹 41
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従来の車では「運転席に座り、キーをひねるなりボタンを押すなりしてパワーユニットを起動させる」というひと手間が必要だったが、C40 Rechargeの場合はブレーキペダルを踏みながらシフトレバーを動かすだけで、すべてが「ON」になる。
XC40と比べて約7cmも全高が低いクーペライクなフォルムゆえ、頭上空間はやや窮屈に感じられるかとも思ったが、身長175cm程度である筆者が座る分には何ら問題なし。これは全車のルーフを大開口の固定式パノラマガラスルーフとしたことで、ルーフライナー分の厚みがないことに起因する“広さ”なのだろう。そして横方向の余裕も、“コンパクトクロスオーバー”とはいえ全幅1873mmある車なので、普通に十分である。
アクセルペダルをそっと踏み込むと、さすがにパワフルなEVだけあって十分な力感とともに前へ進むわけだが、その動き方は意外なほどにマイルドだ。「そっと踏んでも身体が後ろに持っていかれる」というようなワイルド系EVではない。
「ゆっくり」から「それなり」ぐらいのさまざまなペースで横浜の市街地を走ってみると、計500kgのバッテリーが前輪軸と後輪軸の間の下部に配され、さらに前後重量配分がほぼ50:50になっていることの美点ばかりが際立つ。つまり、ただ普通に30~60km/hほどの速度でそのへんをテキトーに走るだけで、ドライバーはひたすらの気持ち良さを感じてしまうのだ。
正直、試乗前は「コンパクトクロスオーバーのくせに車両重量が2160kgもあるってことは……まぁEVだから“かったるい”ということはないにしても、動きの質は気持ち悪いのかもしれないな」と予想していた筆者である。
だが予想は完全に裏切られた。
重量物(バッテリー)を車両中央付近の下部に置くという、EVに共通する美点のほかにどんな“魔法”が使われているのか、筆者は知らない。だがとにかくボルボ C40 Recharge Ultimate Twin Motorとは、世間一般が何らかの車を「いい車」と評する際に共通する資質である「ゆっくり普通に走るだけでも気持ちいい」という、例のアレを完璧に備えている車だったのだ。
私は半ば「ピュアEVの試乗会に来ている」ということを忘れながら、C40 Recharge Ultimate Twin Motorで横浜の街を走り回った。
筆者が「EVの試乗会に来ている」ということを途中で失念してしまった理由は2つある。
ひとつは、これまで述べてきたとおりボルボ C40 Recharge Ultimate Twin Motorという車の動きが、あまりにも自然というか、あまりにも気持ちよかったということ。そのことにより、EVうんぬんが頭から飛んでしまったのだ。
そしてもうひとつの理由は、筆者を含む最近のドライバーは「静かで低速トルクに優れるモダンなガソリンエンジンのアクセルペダルを、そっと踏みながら走るケースがほとんどだから」ということだ。
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