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ジュークターボに試乗 走りを愉しむ4WDとは?

すっかり虜に

前輪駆動をベースにしたオールモード4WDの場合、通常はFFでタイヤが滑ると後輪にも駆動トルクを配分して4WDになるわけだが、前後の駆動トルク配分はどう頑張っても50:50の比率までにしかならない。FFベースでそこからトルクを分け与えるのだから当然リアに100ということはない。そしてこれはFFベースのいわゆるスタンバイ4WDの宿命となる。だからハンドリング的にはFFの派生であり、後輪駆動的な動きを作ろうとすると相当に制御が必要になるわけだ。

これは当然ジュークも同じ。だが、最大で50:50にしかならない駆動トルク配分でも、リアに与えられた50を片輪に全て与えたらどうなるか? コーナリング時の外輪に全てを配分すれば旋回のための力を生むことができる。これがトルクベクトルの考え方というわけだ。事実、ジュークの『16GT FOUR』では、前後の駆動トルク配分は100:0~50:50にしかならないが、後輪だけでみると左右の配分は0:100~100:0を可能としている。そしてこの配分は操舵角をはじめとした各センサーからの情報によって決まる。よってそのハンドリングは、FFベースの4WDの常識を覆すものになっているのだ。

もっともそれをより強く実感するには、やはりサーキットで試す必要があった。その時の印象もご報告したいところだが、これは「XaCAR(12/10発売)」の取材だったので、興味のある方は是非そちらもチェックしてもらいたい。ただ、ひと言でいえばかなり「痛快!」で、これは久々に…な1台だった。

また『16GT』と『16GT FOUR』は基本的なハンドリングがしっかり磨き込まれていて、普段使いのコンフォートを確保しながらも、スポーツドライビングを堪能できるレベルに達していることも間違いない。その上でトルクベクトルの効果は実に分かりやすく、コーナーに対するノーズの入り具合は驚くほどのキレだ。本当によく曲がるし、シャシーもきちんと磨かれている。姿勢変化も含め、「たいしたもんだ!」といえるレベルにあるのだ。

つまり、見た目はユニークなSUVだが、走りは想像以上に楽しく気持ちよく刺激的で痛快。最初に感じた欧州のホットハッチ的な魅力は間違いではなく、僕はすっかりこのクルマの虜になったのだった。

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