ドライブ好きなら740i 吉田 匠のチョイス！

軽快でスポーツサルーンらしい740i

しかも740i、動力性能にも不足はなかった。かろうじて2トンを切る車重を3リッターの直6で不足なく引っ張り上げるのだから、ツインターボの威力には脱帽せざるを得ない。それに加えて、すでに書いた充分なステアフィールとボディサイズや車重を忘れさせる存外に軽快な身のこなしなど、この740iにはドライビング好きがBMW7シリーズに求める要素の多くが、充分適正に備わっているように思えた。つまり、同じ7シリーズでも、750Liと740iにはキャラクターの違いが明確にあるようにその時点では思えたのだった。

　この2台で試乗会のプログラムは終了だったが、試乗したのが2台とも「ダイナミック・ドライビング・コントロール」装着車だったので、ノーマルサスペンションの乗り味を体験していない。そこで、それに乗りたいと申し出たら、標準サスペンションの750iを貸してくれたのだが、これに乗ったことでさらに多くのことが判明することになった。

　まず750iの標準サスペンション、乗り心地は適度にソフトでありながらハンドリングも適度に締まった印象で、乗り味はなかなか好ましく、これなら「ダイナミック・ドライビング・コントロール」は必ずしも必要ではないと思った。となると、ホイールベースの違いはあるにせよ、最初に乗った750Liの乗り味が妙にソフトだったのはそれが「750」だったからではないことが判明した。で、この3台の乗り味の違いに大きく関与しているのはタイヤではないかと推測できた。そのことは2台目に740iに乗って、そのタイヤサイズが最初に乗った750Liと違うことを知ったときに閃いたのだが、3台目に750iに乗ったことで、それが決定的になった。タイヤの違いとは、最初の750Liのみが標準の245/50R18のダンロップMAXX GTで、2台目の740iと3台目の750iはオプションのフロントが245/45R19、リアが275/40R19のグッドイヤー・エクセレンスを履いていたのである。