2段フェイスに化粧直しされたBMWの巨艦SUV「X7」。高性能グレード・M60iの実力やハイテク装備を解説する
掲載 carview! 文:木村 好宏/写真:Kimura Office 164
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2018年から欧州で販売が開始されたBMWのフルサイズSUV「X7」が4年目を迎え、LCI(ライフ・サイクル・インパクト)すなわちフェイスリフトが行われ、サウスキャロライナ州スパータンバーグ工場周辺で試乗会が開催された。
真夏の陽光に照らされたミネラルホワイトのボディカラーに塗られたX7は、フロントがまるでフルモデルチェンジされたように、全く新しい表情をもつ。2個のLEDデイドライビングライトと2灯ヘッドライトを細いスリットで上下二段に分けた、「フォーアイズ(4眼)デザイン」で顔付きが変わったのである。
目標としたのは「ソブリン(sovereign・最高の、君主)」、すなわちSUVセグメントのハイエンドに相応しい卓越した存在感を持たせることであるとプロダクトマネージャーのマルコ・メラーは強調していたが、確かにXシリーズの中では際立った存在感のある表情をもっている。
一方、リアのモディファイは3Dデザインのテールライトとクロームラインだけで、後方からでは従来型のX7との見分けは難しい。
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試乗したのはトップモデルの「X7 M60i Xドライブ」でフロントに縦置きされるエンジンは4.4リッターV8ツインターボで、12馬力と200Nmを発生するISGをクランクシャフトに直結させたマイルドハイブリッドを採用している。
その結果最高出力は530馬力(390kW)、最大トルクは750Nmを発生。メーカー発表による性能は0-100km/hは4.7秒、最高速度は250km/hでリミッターが介入する。
試乗ルートは周辺のカントリーロードとハイウェイを含む113マイル(約180km)で、法定速度は市街地の30mph(約48km/h)からハイウェイの70mph(約112km/h)となっている。
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広々としたキャビンに上がり込み、身体を包み込むような豪華なレザーコンフォートシートに迎え入れられると、正面にはオペレーティングシステム8を搭載したインフォテイメントを表示するカーブドディスプレイが広がっている。
クリスタルのセレクトノブを手前に引いてスタート、電気モーターのアシストによって出だしは非常にスムース、すぐに2.7トンの重量には不釣り合いなほどのV8ターボの力強い加速へ移行する。
おかげで市街地での取り回しは非常に楽だ。もちろん見切りの良いボックスタイプのボディ形状も助けになっている。ハイウェイへの進入路、そして本線へ向けての中間加速も他を圧倒する鋭さで気持ち良い。
アクティブクルーズコントロールはアイコンが小さくて読み難いが、作動は確実でリラックスしたドライブが可能だ。郊外のカントリーロードは片側一車線の場所が多かったが、大型のピックアップトラックとのすれ違いでも高いドライビングポジションと見切りが良いボディ、さらに正確なステアリングのおかげで安心してすれ違える。カントリーロードの法定制限速度はよほどのきついカーブでなければずっと55mph(約88km/h)なのでスポーツモードでアクティブなドライブを十分に満喫することができた。
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公道試乗の後にクローズドエリアで様々なアシストシステムをテストしたが、駐車場の入り口から自分の駐車位置までの走行を記憶して自動走行する「マニューバアシスト」、さらに狭い路地や駐車場で行き止まりになった場合、200m以内であれば、30km/h以下で手放しで自動的にバックアップできる「リバースアシスト」はフルサイズのX7には非常に便利なシステムであったことも最後に伝えておく。
このビッグマイナーチェンジでピュアエンジンを搭載したX7は次世代へバトンを渡すことになるが、今回のアップデートはまさにそれに相応しい内容でフィナーレを飾ったと言える。
X7 M60iの生産は試乗会が行われたアメリカのスパータンバーグ工場で既にスタートしており、すでに米欧で市場投入が始まっている。日本へは早ければ年内、あるいは年明けに上市すると予想される。ちなみにドイツでの19%付加価値税込み価格は12万7200ユーロ(約1800万円)と発表されている。
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