ホンダ雪上試乗会、一番楽しいモデルは？

北米専用車の「TL」は、アキュラブランドにとっての最量販モデル。直接的なライバルには、BMW・3シリーズやアウディA4などが挙げられる。いかにもアメリカ人にウケそうな顔つきは、日本の道を走ったとしても存在感バツグンだろう。

未来とアメリカ

いろいろ試乗した中でも、もっともインパクトが強かったのが、燃料電池電気自動車の「FCXクラリティ」だ。水しか出さない究極のエコカーだが、いまは法人向けリース販売のみとされている。そのスタイルも未来的だが、ドライブフィールはさらに異次元の世界。アクセルを踏んでいくと、モーターによって力強く加速していく。しかも、変速がないからどこまでも滑らか。さらに、とっても静か。走行途中で音が変わるがそれもガソリンエンジンのような回転とともに…、という感覚とは異なる。バッテリーより寒さに強いため、寒冷地での始動性も問題ない。すべてが異次元で未来的な感覚のクルマだった。いずれ、これがスタンダードとなる時代が来るのかな？ と楽しみ半分、寂しさ半分な気分だった。

今回、アメリカのみで展開されていて日本では馴染みのないモデルも用意された。“アキュラ”ブランドのセダン「TL」、ビッグサイズSUVの「MDX」、そしてホンダブランドの「アコードクロスツアー」の3台だ。ホンダ車よりもさらにアクの強い厳ついマスクのアキュラだが、一見してホンダブランドとは一線を画したスタイリングに、ブランドの確立を感じた。一方、アコードクロスツアーも、かなり気になった一台。ワゴンとSUVのクロスオーバー的なスタイリングはかなり斬新。逆輸入して欲しいくらいだ。

各車のストローク感がある乗り味や穏やかなハンドリングは、日本にいながらにして、そして日本ブランドの親近感を感じながらもアメリカンな雰囲気溢れるモデル達であった。アキュラは日本への導入が予定されていて中止されたブランドだが、生まれ故郷アメリカでさらなる熟成を果たし、いずれ日本に導入されることを期待したい。