アドバンの新ジャンル プレミアム系デシベル
掲載 更新 carview! 文:斎藤 聡/写真:齋藤 正
掲載 更新 carview! 文:斎藤 聡/写真:齋藤 正
といった具合に、技術面ではいかにも高性能そうな説明を受けたわけだが、すでにDNA デシベルでも静粛性や乗り心地に関しては国産屈指…ということは他の国にこうしたタイヤがないので世界屈指のレベルにあるわけで、そんなタイヤがモデルチェンジしたからといって、そうハッキリと性能の違いが判るのものなのか? じつはそんな気持ちを心の隅に持ちながら試乗したのだった。
ところが、そんな思いは最初に行ったノイズテストで簡単にかき消されてしまった。静かなのだ。クラウン(ロイヤルサルーン)にDNA デシベルとアドバン デシベルを履いて乗り比べたのだが、ノイズ全体のレベルでもたぶん数字に出るくらい差が出ていると思うのだが、特に高周波系のノイズがハッキリと少なくなっているのだ。ジャーといったノイズが大きくなる荒めのアスファルト舗装、舗装のヒビ割れた古い舗装路面で特にその差がハッキリと出た。耳障りなノイズが特に巧く抑えられていて、素直に「静か」だと感じる。
ただし、1センチほどの段差や突起を乗り越えたときの瞬間の振動はアドバン デシベルのほうが大きめというかやや硬めだ。これは40km/hで通過した時の印象。試しに45km/h、50km/hとスピードを上げていくと50km/hあたりから、印象が逆転しDNAのほうが振動が残り、アドバンのほうが振動がスッと消える感じとなっていった。
高速周回路ではアドバン デシベルにメルセデスE350アバンギャルドとレクサスIS250を使って試乗したが、スムーズにタイヤが転がる感触があり、滑らかな乗り心地という印象を受けた。40km/hくらいまで車速を落とし、路面の継ぎ目や突起を乗り越えるとNVH路で感じた硬さ=ダンピングの強さを感じたが、車速を上げるにつれて滑らかな乗り心地になっていき、60km/h以上ではコツコツした硬さはほとんど感じられなかった。
操縦性も良かった。微舵領域の応答の出方に唐突さがなく、ハンドルを切る量とスピードに応じて素直に曲がる力が出てくる。アドバン・スポーツやそれと同クラスタイヤと比べるとシャキッとした感触は少ないが、それと引き換えに十分納得できる滑らかな乗り心地とノイズの少なさがあるし、140km/hからかなり思い切ったレーンチェンジを試みたが、タイヤがヨレてクルマの姿勢が乱れるということはなかった。またその際タイヤの変形具合がイメージとほとんど誤差がない(≒インフォメーション性に優れている)ので、予想外のクルマの動きや乱れも出なかった。
また直進時のクルマの座りが良く、安定してまっすぐ走ってくれる感覚も出ていた。もちろん感覚だけでなく横風を受けた際のクルマの安定感も高く、横風による横方向への入力に対しても、タイヤのヨレによる姿勢の乱れが少なく、安定感と安心感があった。
排水性に関しては、たぶんDNAと変わっていないと思う。もともとDNA デシベルの排水性は悪くなく、太めの縦溝主体のデザインが効率的に排水性を確保していたからだろう。縦溝太さがほとんど変わっていないので、そのあたりはむしろ合点が行く。ただし、ウエットグリップは明らかに高くなっている。ゴムコンパウンドが明らかにグリップする。路面にこすれ、粘り、捉えてくれる。特に滑り易いハンドリング路でのコーナリングスピードには体感でハッキリとした違いが出ているし、コーナー立ち上がりでアクセルを踏み込んだときのトラクションも粘ってくれるのが実感できた。
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