国民的コンパクト車対決 FIT vs VITZの一騎打ち!
掲載 更新 carview! 文:小沢 コージ /写真:菊池 貴之
掲載 更新 carview! 文:小沢 コージ /写真:菊池 貴之
というわけで同じ4m以下のコンパクト5ドアハッチバックで、どちらも売れスジ商品なのだが、クルマ作りの考え方、アプローチは驚くほど違うのである。
そして、現時点で単純に性能を比べるとフィットに軍配が上がるし、今年はおそらく年間販売台数トップの座を奪い返すことになるだろう。それくらいの実力はある。
ただ、長い目で見てどちらが国民的コンパクトカー足りえるかというと、わからない。ヴィッツが持つ割り切り感覚とキャラクター性もまた侮れないからである。ヴィッツは要するにヨーロッパ車的なコンパクトカーだ。小さなクルマに5人全員はそうそう乗らないと割り切り、その分を使い勝手やデザインに振っている。
実際、とある20代女性が言っていたのだが、フィットのヨーロッパ的な走りのCMと、ヴィッツの宮沢りえを起用したCMで比べると、圧倒的にヴィッツの方が印象深いそうだ。その方針はデザイン戦略にも出ており、フィットがロングホイールベースを強調した、ある種、新しいコンパクトカー像にチャレンジしているのに対し、逆にヴィッツは古典的なコンパクトカーらしさやキャラクター性を重視している。丸みを帯びたボディラインと印象的なフロントマスクは、“アタシのクルマ”という意識を呼び起こし、CM効果と相まって日本に深く浸透する。
そう、そのキャラクター戦略は、ヨーロッパやアメリカと違って、クルマをそれほど激しく使わず、イメージで選択しがちな日本にあって有効だという気がするのだ。
あるいはコンパクトカーがどんどん世界商品になっていく今、日本的な「もっともっと」の欲張り戦略のフィットは逆に早晩限界が来るかもしれないし、ミニバンに取り込まれてしまうかもしれない。
この勝負、まだまだ先が見えないのである。
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