日産ノート オーラ発売 プレミアムコンパクトを謳うノートの新ブランドはアリかナシか?
掲載 carview! 文:伊達軍曹/写真:小林 俊樹 210
掲載 carview! 文:伊達軍曹/写真:小林 俊樹 210
外観同様インテリアも、いわゆる忖度などいっさい抜きに「プレミアムコンパクト!」と評したい世界観だ。
標準装備となる12.3インチ フルTFTメーターの未来感は、各所に配されたツイード表皮や、15工程を経て生み出されるという艶を抑えた木目調パネルと絶妙なコントラストを描く。そして――これは従来型ノートのメーカーオプションと同一のものだが――本革3層構造のシートは上質な座り心地であるだけでなく、その造形センスも、端的に言ってかなりイケている。
加えて、オプション装備ではあるが、ノート オーラ専用の「BOSEパーソナルプラスサウンドシステム」の音質も、極上の部類に入るものだ。
電動パワートレインはノートと同じく「第2世代e-POWER」だが、ノート オーラのそれはノートと比べてモーター最高出力が18%向上し(85kW→100kW)、最大トルクは7%増強されている(280Nm→300Nm)。さらに4WD車ではリアモーターでも回生(減速)を行うため、減速時もフラットな姿形が保たれるという。
また「遮音」はノートにおいても追求されていたが、ノート オーラではそれをさらに徹底。走行中の「車外の音の聞こえにくさ」と「高速走行時の会話のしやすさ」は同門のノートだけでなく、欧州プレミアムコンパクトのそれをも大きく上回っている。
……と、そんな触れ込みのノート オーラを、実際に運転してみることにしよう。
試乗したのは公道ではなく日産のテストコースだったが、「単なる高速周回路」ではなく、あえて目地段差や舗装が悪い場所なども随所に設けられているコース。そこを20~80km/hほどの速度で走ってみたということで、「信号機がない」ということ以外は、一般公道を走るのとそう大きな違いはないと思われる。
まずは力感について。
数値的には前述のとおりノートよりトルクで7%、馬力で18%増強されているというオーラの電動パワーユニットだが、これはまさに数値どおりの感触。といっても、もちろん「うむ、17%か18%ほど力強いな!」などという細かな数字が体感できるはずもなく、「うむ、ざっと1割ぐらいは力強いな!」という感触だ。
お次は走行フィール。
遮音は確かにかなり効いており、車内はきわめて静か。ただし「静かすぎて不気味」というほどではなく、エンジン音やロードノイズは程よいレベルで車内に進入するため、むしろ「そんなノイズが逆に心地よいかも」といった気分になる。川のせせらぎを聴くようなものだ。
そして国道やバイパスを走るぐらいの速度からブレーキングを行い、パイロンが立ち並ぶ曲率の高いカーブへと入り、そこを抜けて再加速していく際のタッチは「自然」のひと言。ドライバーのほぼイメージどおりに減速され、車が向きを変え、事前のイメージどおりに車体を若干傾けながらカーブを適切に曲がったのち、またイメージどおりに加速していく――ということだ。
この部分についての従来型ノートとの差がどれほどのものかは、レーサーではない筆者には確認できなかった。オーラのほうが全体的に少し良いと感じたが、「気のせい」であることも否定できない。ただひとつ断言できるのは、「このあたりについてはノートもノート オーラも、どっちも素晴らしいですよ」ということだ。
FFに試乗したのち、同じコースを4WDのノート オーラでも走ってみよう。
「4WDはリアモーターでも回生を行うため、カーブ手前での減速GはFFより大きい」との事前説明だったが、減速Gの違いは正直わからなかった。ただ「四輪すべてで減速が行われるため、減速時もフラットな姿勢が維持される」という部分は「なるほど、確かに」と普通に確認できるものだ。
だがそれ以上に強く感じたのは、両者のフィーリングの差である。
FFのノート オーラの走りは上質で重厚だが、同時に、どこか軽やかさのようなものもある。そのため「フランスのプレミアムコンパクトに似ているな」と、筆者には思われた。
そして4WDのノート オーラは、軽やかさ以上に「重厚!」といったフィールが強い。そのため、「これはドイツのプレミアムコンパクトに近い」と思えた。
このあたりは優劣というより「好き嫌い」の問題。フレンチ方向がお好きな方はFFを、ゲルマン方向がお好みの方は4WDを選ぶと、かなり幸せになれるだろう。
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