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レクサスGSに試乗 アリストの影はもはや皆無

精鋭部隊が作りあげるレクサス

2003年、トヨタの開発部隊内にレクサス車だけを開発する「レクサスセンター」が発足した。GSは、そのレクサスセンターが手がけた第1号車である。レクサスセンターに属するエンジニアがもっている名刺は、トヨタではなくレクサスのロゴが入った専用のもの。トヨタ車の開発には参加せず、レクサスのみを手がける精鋭部隊である。パッソやヴィッツといった廉価モデルをもつトヨタとは違い、レクサスはプレミアムブランド。ユーザーに高いお金を払ってもらうにはトヨタ車とは明確な違いを打ち出す必要がある。そのためには開発部隊も完全に別ける必要があるというのがトヨタ首脳の判断だったのだろう。

それと同時に、レクサスが海外における存在感を大きくジャンプアップさせる必要性に迫られていたことも見逃せない。レクサスが北米市場において高い人気を獲得しているのはご存じの通り。その原動力となったのが、品質とサービス面でのアドバンテージだ。逆に言うと、商品的には必ずしもドイツ製ライバルに対して優位に立っていたわけではない。北米に加え、欧州でのプレゼンス強化を目論むレクサスにとっては、商品面でそろそろ大きな“テコ入れ”が必要な状況になっていたのだ。

事実、レクサスセンターではトヨタ車とは違う高い基準でクルマ作りが行われている。空調ファンやモーターの音を低く抑える数値上の基準、スイッチの操作フィール、グローブボックスやカップホルダーの開閉フィール、走行性能など、500以上におよぶ厳しい“レクサス基準”を設け、それらをクリアしたクルマのみがレクサスとして販売されるという仕組みだ。これらのレクサスに課した高い基準を、メーカーは「LEXUS MUSTs(レクサス マスツ)」と呼んでいる。

たとえばGSでは、スタビライザーを取り付ける際、スタビライザーとブッシュを熱で密着させ、滑りを起こさないようにしたり、サスペンションアームに、コストは高いが軽量で高剛性な物を使ったりしている。また、下塗りを終えた段階で手作業による研磨を加えるという念の入った塗装もレクサス マスツの一例である。要するに、トヨタブランドではコストの制約上できないことも、レクサスではできる…というか、やらなければレクサスを名乗れない。そのようにして出来上がったピカピカのクルマを、極上のサービスとともに御影石を使ったピカピカのディーラーで販売する。レクサスとは、つまるところそういうブランドである。

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