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Sクラスハイブリッド走る 東京・箱根・真鶴・横浜

ハイブリッドであることを意識させない

ところで、今回はSクラスのマイナーチェンジとしてこの「S400ハイブリッド」が追加された。その変更点はいくつかある。機能だけを取りあげると、新型Eクラスで採用した様々なドライバー・アシストが織り込まれているので、安全性は着実に進化している。レーンキープアシストはステレオカメラで白線から逸脱するのを監視し、逸脱するとステアリングを振動させてドライバーに警告。ダイナミクス面ではステアリング角に応じてギア比を可変させるダイレクトステアリングが装備され俊敏性も増した。

S400ハイブリッドのトランクリッドには「HYBRID」、フロント・フェンダーには「BLUE EFFICIENCY」のエンブレムが誇らしげにつく。このアイコンはメルセデスの環境技術の印で、ハイブリッドだけではなくガソリンエンジンもディーゼルも「BLUE EFFICIENCY」を冠するモデルがある。メルセデスのハイブリッド・システムはエンジンと電気モーターの間にクラッチがないので、プリウスのようなEV走行はまだできない。しかし、メーター内の表示をエネルギーモニターに切り替えると、プリウスのように電気エネルギーの収支が一目で分かる。

試乗コースはハイブリッド用にメルセデスが用意したものだ。朝混雑している都心を抜け東名高速と小田原厚木道路を通り、さらにターンパイクで山を越えて真鶴に向かう。復路は西湘バイパスでシーサイドを走り、横浜経由で国道を通って品川に戻るコースだ。比較車としてノンハイブリッドの「S550」(5.5リッターV8)をお供にした。

走りはじめてまず気がついたのは交差点でブレーキペダルを踏み込むと、タイヤが完全に停止する直前にエンジンが止まること。ブレーキから足を離すとすぐにエンジンが始動し通常のAT車のようにトルコンATのクリープ現象が発生する。何の意識もしないでスロットルを踏み込むとスムーズに走りだす。低速から走りだすと電気モーターのトルクがエンジントルクに乗った状態での力強いパフォーマンスが得られる。

S400ハイブリッドはエネルギーメーターを見ないとほとんどハイブリッドであることは意識できない。だが、燃費は確実に向上している。電気モーターが介入したことが分からないほどアイドルストップからの復帰もスムーズだ。高級車として十分に納得できる。タイヤはミシュランとブリヂストンが装着されているが、それぞれ転がり抵抗を15%ほど低減した配合を使っている。

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