“想定外”が頻発する耐久の現場。技術開発に留まらない、トヨタが水素で挑戦するワケ【S耐富士24hレース】
掲載 carview! 文:編集部/写真:トヨタ、編集部 21
掲載 carview! 文:編集部/写真:トヨタ、編集部 21
今回トヨタが行ってきたアップデートは主に3つ。水素に関連する技術は主に(1)と(2)。
(1)液体ポンプの耐久性の向上
(2)異形タンク採用による航続距離の向上
(3)CO2回収装置 工程切り替えの自動化
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(1)は、-253℃以下に冷やされた液体水素をエンジンへと送る燃料ポンプの改良だ。昨年の富士24時間レースでは、燃料ポンプの耐久性が足りず、レースにおいて計画的に2回ポンプを交換して戦い抜いた。
今回開発陣は「デュアル・ドライブ」という機構を採用。クランクに2つのギアを搭載することで負荷を分散し耐久性を向上させた。24時間無交換で走り切れる想定だが、様々な負荷がかかるレースにおいては未知数となる。
また、長年航続距離が課題だった水素カローラ。1充填あたりの平均周回数は21年10周、22年は12周、23年は15周(最終戦富士は20周)まで高めてきたが、実用レベルまではまだまだ先が遠いというのが現状だ。そこで今回は(2)の異形タンク採用することでタンク容量をアップ。容量を220L(+70L)へと向上させてきた。
前述の通り-253℃という極低温の液体水素を、真空二重層(いわゆる魔法瓶構造)にすることで断熱性を高め液体状態をキープするこのタンク。制作は新光産業(山口県)が行ったそうだが、円形から楕円形にするには高い溶接精度が求められ、レースまでの短い納期に間に合わせるなど、開発には苦労も多かったそうだ。
また、タンクサイズを変更したため、システム配置を再検討する必要があるなど、走る状態に仕上げるために短い期間の中でエンジニアは昼夜を徹して作業を行なったという。
(次ページに続く)
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