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新型パサート/パサートヴァリアント速攻試乗

名実ともにゴルフ超え

ここまで手放しで誉めてきたわけだが、新型パサートに死角はまったくないのかというと、さすがにそんなことはない。エンジンは、動力性能、静粛性、スムースさともに素晴らしい出来映えなのだが、唯一の弱点はトップエンドでの振る舞い。レブリミットの6250rpmに対し、6000rpmの少し手前からサウンドに若干の濁りが生じるとともに、トルクも頭打ちになる。実用域では超が付くほど優秀なエンジンであり、トップエンドまで回さなければまったく問題はないのだが、スポーツセダン、あるいはスポーツワゴンらしい走りを求めている人は、最後の数百回転の特性に物足りなさを感じる可能性がある。

足回りにも目立った弱点はなかったが、減速時やコーナリング時など、前輪、もしくは左右輪どちら側かに荷重がかかりブッシュが圧縮された状態で段差を通過すると、ガツンという角のたったショックを伝えてくるケースがあった。試乗していないので断言はできないが、おそらく55扁平の16インチタイヤを履く「コンフォートライン」ではこのあたりの感触が緩和されるのではないだろうか。

とはいえ、上記の弱点は重箱の隅をつつくようにして眺めたときの話であって、総合的に見て新型パサートのハードウェア性能は素晴らしく高いレベルにある。

実は、今回のモデルチェンジはフルモデルチェンジと言いつつビッグマイナーチェンジ色が強い。ボディパネルはルーフ以外はすべて新設計し、顔つきも最新のVWトレンドに沿ったものになった反面、インテリアは小変更のみ。シャシーの基本設計やボディサイズにも変更はない。

しかし、エンジンやトランスミッションの刷新に加え、シャシーにも大幅な改良が施された結果、これまで何度も述べてきたように乗り味は劇的に向上した。加えて、180cm級の大人4人と大量の荷物を楽に飲み込むユーティリティの高さもきっちり保たれている。これならゴルフからステップアップしても十分満足できるに違いない。そう、新型パサートは、ゴルフを名実ともに超えた初のパサートなのである。

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