新型セレナに試乗。ミディアムミニバン3強の中で頭ひとつ抜けた完成度
掲載 更新 carview! 文:佐野 弘宗/写真:小林 俊樹
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感心するほど滑らかなシート作動以外にも、細かい改良点は多い。なかでも明らかな改良といえるのは、2列目シートベルトをビルトインにしたことで、2列目に人が座ったまま(もしくはチャイルドシートを装着したまま)でも、気がねなく3列目に乗降できるようになったこと、そしてリアゲートをウインドウ部だけで開閉可能な2分割式としたことだ。
こうした改良点のキモについて開発陣に話をうかがうと「最近は祖父母を含めた3世代、もしくは親戚・知人家族を加えた2家族で移動して、3列目に大人や大きな子供が乗るケースが増えた。また、巨大化したリアゲートは、もはや、せまい場所では使いものにならなくなっていたから」という。
そういえば、これとまったく同じ内容の話を、1年半前にステップワゴン担当氏からも聞いたことは興味深い事実だ。各社ともユーザーの生活スタイルや、そこから生まれる不満点・改善点は知り尽くしている。ほぼ同じ課題への解決策として、ホンダはわくわくゲートを編み出し、日産はビルトインベルト&上下分割ゲートにいたったわけだ。……となると、トヨタも次期ヴォクシー/ノア/エスクァイアで、この課題になにかしらの手を打ってくることは必至である。
基本的な走り味や快適性についても、個人的には現時点で新型セレナがもっとも好ましいと思う。上屋の動きはホンダやトヨタより大きめで、またステアリング反応もホンダほど俊敏ではないが、トータルでクルマをゆったり自然に動かそうとする大人のチューニングである。ミニバンならではの「寸止め」のサジ加減はさすが手慣れたものがある。
開発陣は「全席で乗り心地や静粛性はクラストップ」と豪語しており、なるほどロードノイズや突きあげはうまく丸められている。ただ、パワートレーンノイズはお世辞にも静かとはいえず、さらに絶対性能や柔軟性で、トヨタのフルハイブリッドやホンダのターボに一歩ゆずる。新型セレナで周囲の流れに乗っていこうとすると、必然的にスロットル開度も大きめになることもあり、高速ではときおり、ライバルより「遅い、うるさい」と感じてしまうかもしれない。
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