新型セレナに試乗。ミディアムミニバン3強の中で頭ひとつ抜けた完成度
掲載 更新 carview! 文:佐野 弘宗/写真:小林 俊樹
掲載 更新 carview! 文:佐野 弘宗/写真:小林 俊樹
新型セレナの基本パッケージレイアウトは先代と変わっていない。5ナンバー基準の全長や全幅はもちろん、もともとクラス最背高だった全高も先代同様。プラットフォームもキャリーオーバーなので、トヨタやホンダほどの低床設計ではなく、結果的に室内高だけはクラストップではないが、子供ならゆうゆう室内を歩行移動できる程度にはキャビンのタッパに余裕はある。
新型セレナの諸元表に記される室内長だけが大幅に伸びた理由は、3列目シートにスライド機構を追加して、キャビンのギリギリまで下げられるようになったからで、室内容積は実質的に変わっていない。
3列目がスライドするようになった以外、シートアレンジは新型でも、熟成きわまって定評のあるセレナのそれ。つまり、2列目センタークッションを1列目まで追いやれる超ロングスライドとして、2列目をベンチ型(8人乗り)と独立キャプテン型(7人乗り)の両形式で使えるようにしたタイプだ。
これによって、8人乗りと7人乗りを購入時に選ぶ必要がなく、2列目左側には横スライド機構もついていて、3列目への動線を中央、もしくは左端の2タイプから選べるのは、セレナ伝統の売りである。
こうして文字にすると分かりにくい複雑なシートアレンジを、実際にはなんの迷いもなく、すべて片手(場合によっては指一本)でサクサクと軽く扱えるところは、さすがの熟成きわまる……という感じ。Dシェイプのステアリングホイールもまるでスポーツカーみたいだが、これも「運転席から後席の子供のところに素早く移動できるように」というのが最大の採用理由という。
また、全席での余裕も、セレナが現時点でトップといっていい。3列目もスライドで空間が広がっただけでなく、ヒップポイントも上げて、座り心地や着座姿勢も3強でもっとも健康的。室内高は少しだけライバルにゆずるが、シートに座ってしまえばどっちにしろ天井は見上げるほど高い。
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