ロールス・ロイスが手掛ける初のSUV・カリナンを発表会場でチェックした
掲載 更新 carview! 文:塩見 智/写真:ロールス・ロイス・モーター・カーズ
掲載 更新 carview! 文:塩見 智/写真:ロールス・ロイス・モーター・カーズ
初のSUV、初の4WDではあるが、その根幹となる車台は、ファントムで初めて用いられた「アーキテクチャー・オブ・ラグジュアリー」というアルミスペースフレームだ。他のブランドが使ったら不遜だと言われそうな名前のこの車台は、ゴースト、レイス、ドーンといった現行ラインアップにもモデルチェンジのタイミングで採用されるだけでなく、将来のEV化への対応も想定されているという。ただし今のところ彼らの顧客からは電動化の要望はほとんどないようだが。
新しい車台を得た最新のファントムは元々の乗り心地のよさに加え、信じられないレベルの静粛性を得たほか、重さ2.5トン超、ホイールベース3m超の図体をものともせず、ワインディングロードをハイペースで駆け抜けることが可能なハンドリングを実現した。カリナンは4WD化もあり、ファントムに比べ約100kg重くなっているものの、これに近い乗り味を実現しているのではないだろうか。史上最も高い目線で楽しむロールス・ロイスということになる。
ファントムと同じ6.75リッターのV12ツインターボエンジンを搭載する。最高出力は571ps/5000rpmとファントムと同じだが、最大トルクはフラッグシップに配慮したか、あるいは何らかの最適化の結果かわからないが50Nm少ない850Nm。発生回転数はわずか1600rpmである。4WDシステムの詳細は明らかになっていないが、機械的なセンターデフロックなどは備わらず、電子制御されたフルタイム4WDとのこと。グループであるBMWのテクノロジーが用いられているのは想像に難くない。
電子制御エアサスによって車高(ロードクリアランス)のコントロールが可能。SUV化によってフロア高が上がったが、カリナンはまずドアを開けると40mm下がって乗員を迎え、ドアを閉めると基本の車高に戻る。逆にドライバー自らが40mm上げることもできる。つまり80mm幅で上下するということ。最大渡河水深は540mm。ドライバーにダイヤルで走行モードを選ばせることはない。センターコンソールに「OFF ROAD」と書かれたボタンがひとつ。悪路ではこれを押しさえすればすべてが最適化される。何しろ「effortless everywhere」というのがカリナンに課せられた使命だ。カリナンの乗員はどこへ行くのにも苦労知らずでなければならない。
リアがラウンジシートの5人乗り仕様と、左右が独立したシートの4人乗り仕様がある。4人乗り仕様の後席乗員背後にはパーティションガラスがあり、猛暑や極寒の地でリアハッチを開けても室温が保たれる。また4人乗り仕様には、リアハッチを開けてスイッチを押すとラゲッジフロア部分から後ろ向きに腰掛けるための2座のレザーシートとカクテルテーブルがせり出してくる「ビューイングスイート」というオプションが設定されている。
日本導入は2018年内の予定。価格は未定だが、ファントム未満ゴースト以上という位置づけのようだ。ロールス・ロイスはSUVをもたない数少ないブランドだったのだが、カリナンの登場によって、残るSUVをもたない主要ブランドはフェラーリとアストンぐらいになった。うちアストンは開発中であることが公然の秘密になっている。
動画/塩見 智
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