愚直なまでに”マツダらしさ”を追い求めたCX-60。SUVでも”人馬一体“と”美“は表現できるのか
掲載 carview! 文:編集部/写真:小林 俊樹、マツダ 182
掲載 carview! 文:編集部/写真:小林 俊樹、マツダ 182
マツダは2012年、SKYACTIVテクノロジーと魂動デザインを採用した「アテンザ(現:マツダ6)」の発売を皮切りにブランドの再構築を進め、国内のSUV市場において2位のシェアを獲得するまで躍進した。
しかし世界のSUVマーケットにおいて、今後も伸びると予想される大型モデルやプレミアムセグメントに、現行ラインアップでは対抗できない。CX-5などから上級移行するユーザーの受け皿も欲しい。環境・安全性能への要求も年々厳しくなる。
こうした背景の中、大型・プレミアムセグメントへの参入を考えた時にマツダがはじき出した数値が、走りを楽しむための”550Nm”という最大トルク。CX-5が積む2.2L 直列4気筒ディーゼルターボエンジン比で+100Nmである。
環境性能を両立しながら550Nmを達成するには、大排気量化しか選択肢がない。しかし4気筒のまま排気量を拡大すれば、NOxが発生し圧縮比を下げざるを得なくなる。そうすると空気をたくさん必要とするマツダのお家芸「リーンバーン燃焼」ができなくなる。となると必然的に多気筒化、つまり6気筒エンジンの採用となる。
次に直列エンジンかV型エンジンか。ここにはロジカルな理由と、マツダの”クルマ好き”としての本音が見え隠れする。
まずはロジカルな部分。V型はコンパクトにできるものの、排気デバイスやシリンダーヘッドなどのパーツが2個ずつ必要となり重量がかさんでしまう。マツダは明言を避けたが、恐らく製造コストも増えるだろう。
次にクルマ好きの部分。開発陣も、記号性が高く、シルキー6と評される回転フィールと振動特性に優れた直列6気筒をどうしてもやりたかったと話す。エンジンを直列にするならば、必然的に新規のプラットフォームが必要となる。
FRは、モーターとの組み合わせといった拡張性の高さ、フロントミッドシップによる重量配分や衝突安全性を高められるなどメリットも多い。
「(排気ガスを)クリーンにして走りも良くするには、大排気量化が必須。(大排気量化のために)多気筒化する必要があって、縦置きは大排気量化にも有利で、ロングノーズ・ショートデッキのプロポーションは魂動デザインとも相性がいい。マツダが大切にする”走り”と”デザイン”の両面でメリットが大きいので、(経営陣は)決断したんだと思う」(和田CE)
>>次のページ 魂動デザインとFRプラットフォームの化学反応
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