ユーザーに合わせてクルマが進化。GRヤリスから始まるトヨタの壮大なDX版”もっといいクルマづくり”
掲載 carview! 文:編集部/写真:市 健治 44
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サービス担当者は既販車への展開も考えていると話していたが、前述した通り現時点でパーソナライズは「GRヤリス”モリゾウセレクション”」でしか受けることができず、イベントの定員も1回あたり3名ほど。
そこには、データ解析のリソースや広い敷地、GRレコーダーの搭載など様々なハードルがあるためで、今はレースの疑似体験をしたいという、喜一郎氏の言葉を借りれば「モーターファンの興味を沸かす」イベントでしかない。しかし実は、その先に壮大な展望が控えている。
例えば、一般道の走行データからパーソナライズすることができれば、ユーザーが販売店でクルマを買った後に愛車を自分好みに最適化し、もっと乗りやすいクルマに仕上げることができる。クルマが乗りやすくなれば、運転の楽しさだけでなくミスを減らすことにも繋がり、結果的にクルマの安全性も向上する。
レーサーがGRコンサルタントとして常駐するGR Garageでは、コンサルタントから運転のアドバイスをもらえるなど、トヨタの販売店ならではの強みも出てくるだろう。
さらには、ユーザーの運転特性をビッグデータとしてスコア化し、一般ユーザーの癖を把握することで車両開発に生かしたり、レーシングドライバーと自身のスコアを比較し疑似レースを開催することも将来的には可能だという。現在トヨタでは、ワークスドライバー(そこには豊田社長も含まれる)の運転データも保有しているので、F1経験のあるドライバーやル・マン王者、WRCチャンピオンなどとバーチャル上で対戦できる日が来るかもしれない。
他社はOTAでスマホのようにクルマをアップデートすることを謳っているが、トヨタのDX戦略は機能の向上にとどまらず、ユーザーに寄り添うことまで考えている。その根幹は、豊田社長が掲げる”もっといいクルマづくり”であり、数年後に振り返った時、パーソナライズがDX時代の”モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり”、ひいては喜一郎氏が言った「日本の乗用車製造事業の発展」のスタート地点になっているかもしれない。
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