GT-R 2011モデル試乗 驚愕の進化をレポート
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:中野 英幸
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:中野 英幸
ワインディングに向けて走り出すと、冒頭で述べたように驚きのオンパレード。まずスタートのクラッチのつながりがスムーズ。ミッションオイル冷却や流油量さらには制御自体に手が加わり、どのようなアクセルの踏み方をしようともスムーズにスタートが出来る。また走り出してからもシフトショックが少ない。特にシフトダウンのスムーズさが印象的で、以前は若干エンジン回転が車速に対して低い状態でクラッチが繋がりギクシャク感が生じることがあったが、11モデルではピタッと回転が合いスムーズにシフトダウンが終了する。曲がりながらシフトダウンしても、一切の姿勢変化や前後荷重変化が起らずに曲がっていけると直感する。
そして驚きは、乗り心地の良さ。足回りがよく動くようになり、以前の足回りをコンフォートに設定した時と同レベルの突き上げ感をノーマルですでに実現している。それに加えて素行振動が抑えられていることで、乗り心地の質そのものが向上。同じ道で自分の07モデル(09モデルの足回りに変更済み)と比較したが、11モデルでは路面アスファルトの粒が細かく滑らかになったようなしっとり感や高級感が漂う。これらの特性は同時にタイヤの路面追従性を高めてグリップ力を上げる。逆にいえば、走行性能を求めたフロントダンパーの取り付け点変更やダンパーを全日本級レースで使用する“超”高価な減衰力特性に優れるものに変更したことが、結果として上質な乗り味を手にすることになったとも言えるのだ。
ちなみにワインディングなどが連続するカーブでは操作に対する車両レスポンスを必要とするので、ストローク量が減るスポーツモードが運転しやすい。ここまでは07モデルから共通して言えることだが、高速道路や単発カーブをスポーティに走り抜ける場面ではしなやかにストロークするコンフォートモードが走りやすいという特徴が、今までのモデルと違う。これには10%増したダウンフォースが関係しており、速度が上がると明確に車両が安定しだすので、以前のように高速走行域で車両の上下の動きを抑える為にスポーツモードを選択する必要が無くなったということ。言い換えれば、街中から高速道路まで日常領域をコンフォートが全てカバーするようになっており、足回りの味付けと空力性能がみごとに調和して乗り心地と車両安定性を両立したということだ。
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