GT-Rニュル開発レポ！ 現地取材で見えた事…

性能測定中止のワケ

翌22日は欧州メディア向けの試乗会を行うと同時に、開発テストが並行して行われた。実はこの日の午後、ガレージに待望のパーツが届けられた。それは標準装着されるダンロップタイヤだった。春に開発テストができなかったこともあって今年のGT-R開発は厳しかったのだろう。実はこの日届いたタイヤも急ぎのもので、なんと日本から手荷物扱いで持ってきたものだった。それだけ開発は押していた。だがタイヤが届いたことで一安心。僕はこの日、別件があり夕方前にガレージを後にしていた。

しかしこの後に水野氏はチームを招集して翌23日の性能計測の中止を告げたのだった。22日に到着したタイヤをテストした結果、自分たちが狙った要求が満たなかったという。それゆえに水野氏はタイムアタックを中止した。理由はこうだ。

「市販車のタイヤの仕様が決定していない状態で性能計測しても意味がない。お客様にお届けする仕様でタイムを計測してこそ意味がある。だから今回は中止、来月まで延期」

我々メディアにとって取材の主目的が消滅したことは致命的だったが、僕は逆に良い取材になったと思えた。なぜならば、そこまで強くこだわる姿を見ることができたからだ。僕は実に誠実な対応だと思った。決して妥協しないからこそ、素晴らしいクルマが生み出されるのだ。