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電動化に突き進むフォルクスワーゲン成功のカギはスマホ化にあり? 開発の最前線を取材した

アップルやグーグルと同様のビジネスモデル確立を目指す

電動化と同じかそれ以上の熱意でデジタライズにも取り組んでいる。新たに立ち上げたソフトウェア部門の「Car.Softwear」は2025年までに約1万人のデジタル専門スタッフを配属。これによって現在はソフトウェアの内製率が10%以下のところ60%以上に引き上げるという。今後はソフトウェアこそが自動車の進化の大半を握るとともに、ユーザーの満足度を高める付加価値もそこに集約されると考えているのだ。そのために、まったく新しいエレクトロニクスアーキテクチャー「E3」とオペレーションシステム(OS)の「vw.os」が開発されID.3から搭載されていく。

アシスタントシステム、快適機能、インフォテインメント、ディスプレイ関連の多彩なシステムを統合制御。カーナビのガイドの視覚情報をAR(拡張現実)で車両前方の空間にバーチャル投影するヘッドアップディスプレイの発展形なども計画され、これら膨大な機能を管理できるのがE3およびvw.osということになる。「I.D.」ファミリーは「フォルクスワーゲンオートモティブクラウド」と常にオンライン接続され様々なサービスにアクセスできるほか、Over The Air(クラウド経由)でシステム更新やアップデートが可能になり、クルマの魅力を色あせないようにする。

「これまで私たちは7年間のCar Cycle(モデルチェンジまでの期間)で考え、働いてきましたが、今後は数週間、数日単位で考えることを学ばなければなりません。お客様はクルマのライフサイクル全体にわたりアップデートやサービスが提供されることを期待しています。我々の「ハードウェアとしてのクルマ」に、ハイテンポの「ソフトウェアの世界」を補っていかねばなりません」とDr.ヘルベルト・ディースCEOは語っている。

iOSやAndroidが魅力的なサービスを提供することでファンを獲得し、それでハードウェアのスマートフォンを買ってもらっているが、フォルクスワーゲンもvw.osによって同様のビジネスモデルを確立するつもりだという。100年に一度の大変革期を迎えた自動車産業は、ライバルがGAFAなど巨大IT企業になるとも言われているが、フォルクスワーゲンはそれに対してもどの自動車メーカーよりも本気で取り組み始めているのだ。

以前は、フォルクスワーゲンが電動化へ舵を切ったのはディーゼルゲートに対する免罪符的なもので、本音は別のところにあるのではないかとも思えていたのだが、どうやらそれは間違いで、フォルクスワーゲンは電動化とデジタライズに向けて本気で動き始めた。巨大な船だから一度動き始めたらそう簡単に後戻りはできないだろうが、Dr.ヘルベルト・ディースCEOがスピーチで「批判や、長々と議論ばかりすることをやめ、一緒に変革に取り組みましょう」と投げかけていることからも、迷いなく突き進んでいくつもりのようだ。

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